
さとう
@satoshio
2026年8月15日

光の犬(新潮文庫)
松家仁之
読み終わった
3日ぐらいかけてじっくり読んでいたけど、伯母たちが崩れていくにつれて苦しくなり、途中から読むスピードを一気にはやめてしまった。特に、眞二郎に胃瘻を選択させる場面は、祖父のことを重ね合わせてしまったから、「早く終われ、どうか救われて」と思いながら読んだ。歩にとっての一惟の存在のように、始にも救いがあってほしいと願っていたけど、最後にはあったのだろうか。
一惟の「閉じたまま開かないでいる扉」のところで、恋人のことを考えていた。歩が感じた、この人の空洞を自分には埋められないという虚しさは、私にも覚えがある。誰かの内側にあるものを、どれだけ近くにいてもすべて知ることはできないのだなと思っている。
結末は苦しかったけど、松家さんの文章自体は、私にとっては苦しくなかった。森の中で霧に包まれている感じがする。先は見えないけど、それが不安ではなくて、逆に心地よく思える。見えないものは見えないまま、わからないものはわからないまま、その霧のなかを歩いていくような文章だった。
そんな松家さんの文章だからこそ、最後まで読めたのかもしれない。でなければ、途中で苦しくなって投げ出していた気がする。



