イツキ "イクサガミ 地" 2026年8月15日

イツキ
イツキ
@maruitsuki
2026年8月15日
イクサガミ 地
『イクサガミ 天』で始まった、武技に優れた者たちが京都から東京を目指し、互いの札を奪い合う〈蠱毒〉。一作目の時点ですでに十分すぎるほど魅力的な設定だったが、二作目『地』では、その土台の上に物語が一気に広がっていく。 読み終えてまず感じたのは、物語の土台、ストーリーの広げ方、そして登場人物の厚み、そのどれもがすごいということだった。 『天』では、何者が何のために蠱毒を開催しているのか分からないまま、愁二郎たちは東京を目指していた。『地』では、その旅を続けながら、蠱毒の背後にあるものが少しずつ見え始める。 しかも物語が大きくなるほど話が散らかるのではなく、明治という時代そのものが蠱毒と結びついていくのが面白い。 特に印象に残ったのが、「武」というものが急速に時代遅れになりつつある世界で、達人たちが戦っているということだ。 武士という身分は失われ、刀を帯びることさえ許されなくなった。銃をはじめとする新しい武器や制度が広まり、それまで何十年もの鍛錬を必要とした力の価値そのものが変わろうとしている。 愁二郎たちは、とてつもなく強い。 しかし、彼らがどれほど強くても、時代そのものを斬ることはできない。 だからこそ、その姿が眩しく見えるのだと思う。 もし剣や槍が当然のように必要とされていた時代の物語だったなら、ここまで惹かれなかったかもしれない。自分たちが積み重ねてきたものが、もうすぐ必要とされなくなる。それでも技を磨き、信念を持って生きている。 時代に飲み込まれ、滅びゆく者たちだからこそ、その一瞬の輝きに魅せられてしまう。 剣豪デスゲームとしての圧倒的な熱さと、時代に取り残されていく者たちを描く切なさ。 その二つが同時に存在していることこそ、『イクサガミ』という物語の大きな魅力なのだと思う。 『天』で作った最高の土台を、物語、時代、人物のすべての方向へ大きく広げた二作目。 続きがますます楽しみになった。
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