mikechatoran "オービタル" 2026年8月15日

オービタル
オービタル
サマンサ・ハーヴィー,
小澤身和子
地球の1日に16回も軌道上を周回して朝と夜を迎える宇宙ステーション。そこに滞在する6人の日常は決まりきっていて、その合間に家族のことなど様々なことが胸に去来する。同時に月探査に向かうロケットも発射されて、その華々しさとは対照的な自分たちの任務へのほろ苦さもにじむ。眼下にはいつも美しい地球。宇宙への進出は人類の幸福のためだったはずなのに、いつの間にか地球を食い尽くそうとしている貪欲さが宇宙に向かっているようだ。宇宙飛行士という立ち位置からして地球上の争いや災害などの観察者とならざるを得ないが、一方でその貴重さと美しさを唯一知ることができる人々を物語の中心に据えることによって、ハーヴィーは新たな文学的地平を開いたと言えるのかもしれない。眼下を流れる地球の描写がとにかく秀逸。すばらしい読み応えだった。
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