オービタル
64件の記録
おりべ@oriver2026年9月15日読み終わった読んで良かった。平たく言えば宇宙ステーションの1日を綴ったものだけど、宇宙は畏怖の対象であり未知なる存在であり、地球は美しい。 「宇宙に比べれば自分の悩みなんてちっぽけ」という論説にはじめて納得した。 宇宙飛行士6人の意識の境界がまざりあうような文章も素晴らしかった。

読谷 文@fumi_yomitani2026年9月8日読み終わったなんという美しい小説だろう。 自分は六人の宇宙飛行士の中の誰に近いか考えると間違いなくアントンだ、と思うくらいに、読書中幾度も、訳もなく涙が溢れだしていた。 あふれる言葉で、あらゆるシチュエーションで描写される地球の美しさは、言葉の宇宙線となり流星群となって私を射抜いた。 自然が織りなす地球の美しさと、人の一生はおろか人類のそして地球の歴史ですら、宇宙暦で見ると一瞬の瞬きに過ぎないという、強烈な儚さの対比に目が眩む。 何か事件が起こるでもなく、淡々と、かつ圧倒的な筆力で描かれる16回の夜明けの景色と、六人の宇宙飛行士たちの内面が融合した、印象的な小説だ。 彼らと共に、南極上空でオーロラの光の塔の爆発を見た。 チエと一緒に、宇宙遊泳を覚えたマウスを抱きしめ宙返りをした。 ピエトロと共に巨大台風の行方を心配し、ショーンと共に「ラス・メニーナス」の絵画を逐一見分した。 宇宙飛行士といえば、知力体力その他全ての能力において人類を代表するスーパーエリートに違いないが、これまで描かれてきた天才≒奇人タイプとは異なり、彼らも私たちと同じく悩んだり考え込んだりする一人の人間なのだ、という描かれ方をしていたのがよかった。 ✴︎ 敬愛する書評家の冬木糸一さんのブログにある一節が素晴らしくて、この小説を読んでいる間中にずっと思い出していたので、以下に引用する。まさに読書の本質を突いた文章ではないかと思っている。 「こういってしまっては何だが、サイエンス・ノンフィクションを読んだところで短期的に何か良い影響が出るわけではない。宇宙のはじまり、ビッグバン宇宙論について学んだところで大半の人にとってそれは実用として使える知識ではなく、年収は上がらないし飲み屋でぺらぺらと語りだしても尊敬されるわけではない(たぶん)。それでも宇宙の成り立ちについて「有力な仮説を知っている」ということはその人の視点を地べたから引き上げ、見ることのできる景色を一変させるものだと思う。 本を読んでいる人の方が年収が上がるとか知的だとかいろいろ言う人間もいる。たくさん読めと。だが、本をきちんと読み込んでいけば年収がどうだなんてクソくだらない、人間がその短い歴史の中でつくりあげた一時的な尺度を重視する狭い思考から開放してくれるだろう。」 冬木糸一 「基本読書/サイエンス・ブック・トラベル: 世界を見晴らす100冊」より https://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2015/04/12/110002 ✴︎ 訳者あとがきによると、著者のサマンサ・ハーヴィーは、J・L・カーの『ひと月の夏』(小野寺健訳)という作品を読んで感銘を受け、このような田園詩的小説を書きたいという構想を持つようになったという。 そしてコロナ禍の時期に、インターネットを通じて宇宙から見た地球の画像を眺めていた際に、具体的な本作へのインスピレーションを得たそうだ。 まさに「宇宙の田園詩(スペース・パストラル)」という言葉がぴったりの美しい作品だ。 ある作品によって感銘を受けた作家と、そのインスピレーション、膨大なリサーチを経て、こうした偉大な作品が新たに生まれてゆく、という循環もまた、素晴らしく尊いものだと感じた。 生涯で一番好きな小説のひとつに出会えた幸福を、読後しばらく経った今なお噛み締めている。

あるる@aru_booklog2026年9月1日読み終わった宇宙がテーマの話といえばSFで、文明同士の対立、地球外生命体との遭遇、地球を救え...!!みたいな小説をたくさん読んできました。このお話は全く別の宇宙と地球と人類を6人の宇宙飛行士たちの生活から描いていて、何か劇的なことが起きるわけではないけれど、外から見た地球は劇的であるという不思議な感覚にどっぷり浸りました。とにかく地球の描写が美しくて、ただ自然を指すのではなく大陸やその中の国、山や河が自分たちとは違う時間軸で流れていくのがすごく良かった。 ただ自分に天文学の知識があまりにもなく、序盤はなかなか世界観に入っていけなかったので、ブルーバックスから出ているみんなの高校地学でざっとおさらいしながら読んでました。地球の自転と公転とか、惑星運動とか本当に危うくて...



群青@mikanyama2026年8月28日冒頭を立ち読み私は本屋で手にしたけれど、早川書房のサイトには試し読みがある。 地球軌道上を飛行する宇宙ステーションが舞台。そこでは、アメリカ、ロシア、イタリア、イギリス、日本から集まった6人の飛行士たちが、24時間で地球を16周しながら任務にあたっている。 「かれらは寝袋に入ったまま浮いている。金属の外板一枚を隔てたほんのすぐ先には、宇宙が永遠のなかにただ広がっている。」
like me@reads1932026年8月18日読み終わった人間についての描写では、孤独と家族がテーマだった。血が繋がっていること、同じ苗字であることではなく、一緒に暮らすこと、同じものを見て同じことを感じていると安心できる存在が家族なのだ。何ヶ月も6人だけで宇宙ステーションで過ごしている登場人物たちは、国籍も年齢も違うけど、いつの間にか家族になっている。 地球の描写もすごく美しい。色彩と移り変わりの表現が豊かで、感動的なのに、なぜか一定の距離を感じる。母星なのに、他人のような。自分とは全く関係のない、単なる観察対象を描いているように感じる表現も、作品の魅力の一つだと思った。

like me@reads1932026年8月18日読んでるP201 人類のとこなど知らぬかのような荒野の地形に飲み込まれていき、ただ山並みだけがひたすら南へと続いていく。 P206 焦げたような宇宙の匂いを漂わせている。
705@naschoko2026年8月15日読み終わった借りてきた24時間で地球を16周する宇宙ステーション。そこで任務にあたる6人の宇宙飛行士たちのありふれた一日を描く。 いつも通りの任務をこなす中、故郷である地球に思いをはせる飛行士たち。特別な出来事が起こるわけでもなく宇宙という非日常の中の日常が静かに描かれる。話に起伏がないせいか、やや淡白すぎる感も。 対して宇宙から見た地球の描写はドラマティック。そこには陸地と海の間以外に境界線はなく、人間が決めた国境など見えない。長い宇宙の歴史からすれば人類の歴史もその存在そのものすらもほんの一瞬の出来事。そんな地球の壮大さに圧倒される。



mikechatoran@mikechatoran2026年8月15日読み終わった海外文学地球の1日に16回も軌道上を周回して朝と夜を迎える宇宙ステーション。そこに滞在する6人の日常は決まりきっていて、その合間に家族のことなど様々なことが胸に去来する。同時に月探査に向かうロケットも発射されて、その華々しさとは対照的な自分たちの任務へのほろ苦さもにじむ。眼下にはいつも美しい地球。宇宙への進出は人類の幸福のためだったはずなのに、いつの間にか地球を食い尽くそうとしている貪欲さが宇宙に向かっているようだ。宇宙飛行士という立ち位置からして地球上の争いや災害などの観察者とならざるを得ないが、一方でその貴重さと美しさを唯一知ることができる人々を物語の中心に据えることによって、ハーヴィーは新たな文学的地平を開いたと言えるのかもしれない。眼下を流れる地球の描写がとにかく秀逸。すばらしい読み応えだった。







like me@reads1932026年8月13日読んでるP131 存在しているという奇跡によって、内面をシンプルにしていられる人たちがいて、それによって、外部のことを、野心的かつ無限なものにできてしまう。
あんどれ@andreader2026年8月13日読み終わったイギリス1日の間に地球を16周する宇宙ステーションに乗っている6人の乗組員たちの1日を、宇宙ステーションから見える地球の姿とともに1周ずつ描いていく作品 乗組員たちの内面世界と宇宙から俯瞰する地球の姿とが同時に描かれるのが素敵な作品だった。 日本人の乗組員が枕草子的な「〜なもの」リストを作ってるのが面白い




hiroka@hiroka2026年8月6日読み終わった視点が良かった。 あ、これは村上春樹の『アフターダーク』の、上からの鳥瞰的な視点と同じだな、と思う。 そして、宇宙船に乗っている彼らを描く視点と、乗組員が地球を上から見ている視点とが重なり合っている文章が素晴らしく、魅了された。 宇宙から地球を見ている彼らは、地上の出来事に対して、何もする事ができない、という事実が胸を打つ。宇宙に行くというのは偉業で未来へ繋がる仕事なのに、今まさに起こっている事には力がないのだ。ひるがえって、地上の私達は、地上の現実ともっと向き合い戦うべきなのではないだろうか。 作者は「宇宙の田園詩」を書きたかったという。劇的な事など何も起こらない宇宙船の中、乗組員の心の中、地球の姿、宇宙の広がり。何も起きない描写に、これほど胸を打たれるとは。

like me@reads1932026年8月6日読んでるP116 政治とは、自分たちが宇宙から見る限り、人間には立ち入ることができないだろうと思っていた地球上の、あらゆるものを作り上げてきた、とてつもなく大きな力なのだと。 P118 地球は欲望が輪郭を描き、地形を作った惑星なのだ。
like me@reads1932026年8月3日読んでるP69 人類の知る限り、あの時生きていた人間は全員その写真に写っているのに、ただ一人、その写真を撮影した人物だけが欠けている、ということに。 P70 写真のなかに生命体がいることを証明する、最も強力でわかりやすい証拠は、撮影者自身-つまりファインダーを覗き込む目と、シャッターに押し当てられた温かい指だ。その意味で、コリンズの写真が一際魅力的なのは、撮影の瞬間、そこに存在した唯一の人間が彼だけだったという点にある。 P73 ショーンの見ている宇宙は、ネルの見ている宇宙と同じだが、慎重に設計されたということ?つまり、ネルの宇宙は自然に発生したもので、ショーンの宇宙は芸術作品ということ?その違いは、些細であると同時に乗り越えられないもののようにも思える。
like me@reads1932026年8月3日読んでるP83 お父さんは、進歩は美しいものだと思う? 人が美しいのは、その人が正しいからではない。生きているから美しいんだよ、たとえば子どもみたいにね。
ばば@bababa2026年8月1日買った読み終わった海外文学@ 自宅宇宙ステーションの1日。1日とは思えないほど目まぐるしく変わる窓外。周回する速度がこんなに早いとは知らなかった。 地上、月、家族、日々のルーティーン。あくまでもステーションでの彼らの日常を描いているのが良い。読みながら「灯台へ」を思い出していた。
like me@reads1932026年7月30日読んでるP42 おぼろげに光る淡い緑色の海、霞のなかの赤みがかったオレンジ色の大地。アフリカが光を奏でている。 P43 星々については完全に理解することはできないが、地球については他人を知るように知ることができる-細心の注意を払いながら、強い決意を持って妻のことを知っていったみたいに。 P46 ただ大気圏が放つ穏やかな緑の線と無数の星々、そして驚異的な孤独だけがあり、何もかもがすごく近くて果てしない。 取るに足らないものがこれほどまでに輝くはずはない
like me@reads1932026年7月28日読んでるP24 自分の家族はここにいる人たち-自分が知っていることを知り、自分が見ているものを見ているこの人たち、あえて言葉で説明する必要のない人たち-なのだと思うようになった。 P34 また別の日には、自分以外の五人のうちの誰かの顔をじっと見つめると、その人の微笑み方や集中する姿や食事の仕方に、自分がそれまで愛してきたものや人、その一切合切が見えてきて、そうして人間の本質がこの一握りの人々に集約されると、人類はもはや入り組んだ違いや隔たりがある種ではなく、近くて理解できる存在になる。 P35 結局のところ、全ての生きものは一般的に体と呼ばれる生命維持装置の中で生きているのであり、いずれは故障することになるのだ。








































