ユメ "傷を愛せるか 増補新版" 2025年3月30日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年3月30日
傷を愛せるか 増補新版
精神科医の方が記されたエッセイと知り、とても読んでみたかった一方、少しだけ読むのが怖いような気持ちもあった。『傷を愛せるか』というタイトルに惹かれながらも、ちょっぴり警戒していたのだと思う。傷の愛し方を学びたいが、もし傷は愛せるものだと断言されてしまったら、それがうまくできずにいる私はどうしたらよいのだろう、と。 杞憂だった。著者は優しく繰り返す。「傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷のまわりをそっとなぞること。身体全体をいたわること。ひきつれや瘢痕を抱え、包むこと。さらなる傷を負わないよう、手当てをし、好奇の目からは隠し、それでも恥じないこと。傷とともにその後を生きつづけること」と。続く「傷を愛せないわたしを、あなたを、愛してみたい」という言葉に、傷を愛せないままでも自分を愛してよいのだと、ハッとさせられた。まずは傷から目を逸らさないようにすること、そこから始めたい。 何年か経ってからこの本の文章を思い出して心が救われることがあるような予感がする、私にとってはそんな本だった。
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