
shiori
@shiori_417
2026年8月14日
物語の役割
小川洋子(小説家)
読み終わった
“家族の悲しみを書こうとか、人間の孤独を書こうとか、家族の絆について書こうというような、非常にわかりやすい一行で書けてしまう主題を最初に意識してしまったら、それは小説にならないのです。言葉で一行で表現できてしまうならば、別に小説にする必要はない。ここが小説の背負っている難しい矛盾ですが、言葉にできないものを書いているのが小説ではないかと思うのです。一行で表現できないからこそ、人は百枚も二百枚も小説を書いてしまうのです。”
(物語が生まれる現場)
小川さんの作品を読んだ時に感じる、何か大切なことを小声でささやかれているような感じは、ここから来るのかもしれないなと思った。
“「こっちへいこう、こういうふうに世界を広げてゆこう」という、物語自身が持っている力に導かれないと小説は書けないと思います。一人の作家の頭のなかで考えることのできる程度はたかだか知れていますので、作家が先頭に立って登場人物たちをぐいぐい引っ張って書くような小説は、私はむしろおもしろくないと思っています。自分の思いを超えた、予想もしない何かに助けてもらわないと、小説は書けません。”
朝井リョウさんがどこかで話していた、登場人物が耳元で囁くことをそのまま書いているタイプの小説家さん(辻村深月さんはミステリーなのにトリックが分からないまま書き始めるらしい…)の話を思い出した。
この、自分を超えた何かに導かれるように書くという感覚は、どこから来るんだろう。でもきっと、そういう小説はAIには書けないんだろうなとも思う。