
DN/HP
@DN_HP
2026年8月16日
ザ・ドロップ
デニス・ルヘイン,
加賀山卓朗
ミステリマガジンの70周年記念号にこの小説の元になった最初の短編(が映画化されそのセルフ・ノヴェライズがこの小説)が再掲載されているのを図書館で発見して久しぶりに読んだ。
短編は短編として勿論素晴らしかったけれど、やっぱり短編、映画化を経て完全に仕上がり切ったこの長編小説は完全に傑作。また読みたくなった。
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男の罪や孤独に、それぞれの“間違った”やり方で人生を解決しようと踠く人々の姿に、自分の人生を重ねていた。本の中でも現実でも、世界も人生も残酷だ。
それでも、それぞれがそれぞれの理由で“間違って”いくなかで、男に訪れたような、偶然で特別な、罪を忘れられる、人生を変える、あるいは取り戻そうと思える、幸せだと気づける瞬間は訪れる。そうも信じたい。信じている。そんな瞬間が訪れたとしても「この世はままならない」のかもしれないけれど。そこに犬が居れば。そんなことを思う。
読み終わった本をポケットに入れていた帰り道、SNSで流れてくる犬の皆さんの写真をスクロールして、この小説で救われるアメリカン・スタッフォードシャー・テリアにつけられた聖人の名前を、まだ見ぬ仔犬に呼びかけている人生を想像していた。いつもの道ですれ違う犬を少しだけ長く目で追っていた。「おれはあの犬を育てたいだけだ。」追い詰められたときに男に浮かぶ言葉を思い出す。ああ、わたしの隣にも犬がいればなあ。
読み終わったときの気分は決して明るくはならないし、この気分をどういう言葉で表せば良いのかも分からなかった。それでも世界、人生を残酷だけれど真摯に描いた小説は、ままならないけれど、やはり素晴らしいし大好きだと思えた。きっとまた何度も読むと思う。いつかのそのときには、隣に犬が居てくれれば最高なのだけれど。








