DN/HP "灰の王" 2026年8月16日

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2026年8月16日
灰の王
灰の王
S・A・コスビー,
加賀山卓朗
発売日直後に買ったけれど、乗り切れなくて一ヶ月の間を開けてようやく読み終わった一冊。これはたしかに帯にあるようにこの作家の「最高傑作」かもしれない。と綺麗に素早く手のひらを返しているところ。 隠し通すはずだった秘密は暴かれ、誰もが罪を犯し、あるものは死にあるものは去り、またあるものは新たな王になる。タイトルの意味も完全に理解した気になっている。 中盤あたりまでに主人公(最後までいけすかないぜ、というのにも理由があるけれど)にも読者(わたしには)にもかかるプレッシャーやストレスは、その後に訪れるカタルシスを予想というか渇望させるけれど、この小説も優れた「犯罪小説」の殆どがそうであるように、完全に「この世はままならない」、「解決しない物語」だった。 そこにはわかりやすく解放されるようなカタルシスは勿論ないけれど(気持ちの良いどんでん返しとかはある)、そう考えてみればあの中盤までの不快感さえもそこにあるべき、感じるべきものだったとも思えてくる。 ひとつのトラブルは去ったけれど、根本的にはなにも解決することのない、それどころか新たなトラブルや問題の予感、この世のままならなさをたしかに残して終わるような小説を読み終わった後に、なにを思えば良いのかは未だわかっていないけれど、たしかに素晴らしい小説を読んだことだけはわかっている。そんなことも思える小説。 読み終わってみれば最初の乗り切れなさはなかったことにして、全部素晴らしかったと都合よく思っているし、こういうのがやっぱり好きなんだよな、というのも改めて実感している。ちゃんと最後まで読んで良かった。
灰の王
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