DN/HP "灰の王" 2026年8月16日

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2026年8月16日
灰の王
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S・A・コスビー,
加賀山卓朗
優れた「犯罪小説」にはいつも音楽が流れている。というのはマイケル・コナリーが推薦コメントに書いている「優れた犯罪小説に必要なもの」のひとつだ。多分。特にS•A•コスビーはいつもその趣味も良いというか、好みが合いそうな気もしている。 「ダンテは自動車修理工場に着くと、レンタカーを通りの向かいに駐めた。衛星ラジオで九〇年代ヒップホップ専門チャンネルを聴いていた。ゲトー・ボーイズの『マイ・マインド・プレイング・トリックス・オン・ミー』がスピーカから大音量で流れ、窓ガラスを震わせた。」 … 「ダンテは立ち上がり、銃を腰に差してドアに向かった。『ヘイ、タグ。いろいろありがとな』『ああ、またあとで』タグが言った。『ああ、ほんとにありがとな』ダンテは言った。そしてTLCの『ホワット・アバウト・ユア・フレンズ』を鼻歌で歌いながら去った。 … 「ラジオの曲が変わった。R&Bのヒット曲で、映画『ビート・オブ・ダンク(アバブ•ザ・リム)』のサウンドトラックに収録されている、スウィート・セイブルの『オールド・タイムズ・セイク』だった。 ここは実際には哀しさや無力感も漂うようなシーン。そんなときにも音楽は流れている。それは現実でもそうなはずだけれど、それが省かれずしっかりと書かれていて、その曲たちに覚えがあることにはかなりあがってしまったりもして。まあそれはその場面に合いすぎているような気もするけれど、映画で流れる音楽とかはそういうものだし、それを小説でやったって良いわけだ。
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