octo "万延元年のフットボール" 2026年8月17日

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@mothmanoir
2026年8月17日
万延元年のフットボール
万延元年のフットボール
加藤典洋,
大江健三郎
「蜜」、「鷹」と、主人公とその弟の下の名前を呼びかけ合う登場人物の間に漂う、逆説的に余所余所しい雰囲気。 物語はどこまでも内省的な主人公と、どこまでも行動的なその弟の間にあるパワーバランスを巡って展開されるが、そこに万延元年から現在に至るまで積み重ねられてきた、土地の血と暴力の歴史が重層的に覆い被さってくる。 陸の孤島と化した村を舞台に繰り広げられるドラマは閉塞的で、行き場のない力が登場人物たちを半ば無理矢理に駆動しているかのような感を覚える。 それでも結末に据えられた展開は開放的で、読者を深い満足感へと誘うに足る。 目を惹く導入から入念な舞台設定、周到に用意されたクライマックス、そしてある種のサプライズを伴ったオチ、と、かなり小説としての完成度が高い一作。
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