ゆう "容疑者Xの献身 (文春文庫)" 2026年8月14日

ゆう
ゆう
@fleurs_wisteria
2026年8月14日
容疑者Xの献身 (文春文庫)
・さすがだ…… とにかくやっぱり設定がうまい だけど、”細かい設定に拘泥してしまっていて全体としてみたときの味が薄い”というようなことがない 全体のために細かい設定が生きている 全体から見れば細かい設定が必然のものになっていて、設定から見たら結末が必然のものになっている 例えばだけどあのラストは「自分が愛を向けられるとは想像もしていない人間」と「愛されることが当たり前の人間」との間でしか起こらないとさえ言える さすがだ……(再) ・「愛」という曖昧で不安定で定量化できなくて、でも人の命をも左右しうる要素がこのド理系のストーリーの最大ファクターに入っているところがぐっときた ・ここまで東野圭吾作品を5作読んできたけど、個人的には一番好きだった もし人におすすめするならこの作品かな ・「容疑者Xの献身」というタイトルと小説冒頭の内容から読者がこの後の展開を察せるようになっているけれど、それを裏切るのではなく、そのルートのままで予想を上回る展開に繋げてくるところに、(もう知ってるんだけど)やっぱりめちゃくちゃ小説が上手い……となった ・表紙が一輪の赤い薔薇なのも、宝石や指輪のようにずっと残る美しいものじゃなく、やがて萎れて枯れて消えてしまうようなものしかあげられない人間のもの悲しさみたいなものが詰まっている感じがしてすごく好きだった ・レビュー等を読んでいると靖子のキャラクターに賛否あるみたいだけど、個人的には東野作品の「犯罪者」はほとんどの場合判断能力が低い人間(簡単に言うなら“愚か“)であり、靖子もその一人だと思っている 愚かじゃなかったら人を殺すことには基本ならないわけなので…… そして今作では靖子をこのような書き方にしているおかげで石神に共感が集まりやすいようになっている だからあのラストが心に残る……つまり、全部計算されているってこと (まあこうは言っても私も靖子はあまり好きではないですが)
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