Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
ゆう
ゆう
ゆう
@fleurs_wisteria
違う時代違う世界に生きた誰かが、どんなことを考えていたのかを知りたくて本を読んでいます
  • 2026年8月1日
    オセロー ――シェイクスピア全集(13) (ちくま文庫)
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・読み終わった瞬間、おもしろかったー!と思った 悲劇ではあるんだけど、興味深さも含めて私の中では”面白い”が勝った ・シェイクスピア自体大学時代ぶりに読んだけど(オセロではなかった気がする)、あのころ本を開くとすぐ寝ちゃって全然読み進められなかったのは一体なんだったんだろう??と思うほど面白くて一日で読んでしまった!(シンプルに睡眠不足だっただけな気がしてきた……) シェイクスピア全部読んでみたいかも ・かなり多様な立場の登場人物が出てくるけど、それぞれがそれぞれの立場から考え、発言しているように書かれている点がさすがだった 特にエミリア(中流階級女性)ビアンカ(娼婦)の台詞には驚いた 17世紀の男性がこれを書いたのか〜……と ・訳注がとても充実していてありがたかった youとthouの使い分けから原文に仕込まれた皮肉な表現まで! ・巻末に上演記録があって、ああ戯曲なんだな〜と実感した
  • 2026年8月1日
    哲学がわかる 中世哲学
    哲学がわかる 中世哲学
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・原著に誤記や明らかな誤り(邦訳では原著者と相談して対処済みとのこと)があると訳者による注釈があるなど、ん?と思われる部分もなくはないものの、著者が中世哲学の範囲と定義する西暦200年〜1700年という長い時の中で、古代ギリシア哲学という共通の起源を持つラテン・キリスト教哲学、ギリシア・キリスト教哲学、アラビア哲学、ユダヤ哲学の4つの哲学的伝統において、時に影響しあい、時に異なる方法でどのように哲学という営みが発展してきたかということについて、包括的に把握できた 著者が「歴史的分析」と呼ぶ多角的な視点からの分析も興味深かった 特に思想家たちの読んだテキストについて、個人的には当然前提として把握されていたのではと思っていたけど哲学研究においては必ずしもそうではないっぽい? ・4章以降の哲学の諸領域についてはかなり概説的なのでこの一冊だけで理解できたとは感じられない(ので他の本も読んでみるつもり) ・原著の英語にかなり忠実に訳されているので、正直なところわかりやすさはほぼない (ただ訳注がとても丁寧だし補足もされてるし日本の読者のための読書案内まで付記されている!) ・著者が完全に「ラテン・キリスト教哲学の伝統」の中にいることが文章から窺え、個人的にはすべての哲学的伝統を客観的に理解・分析しているかに関しては疑問が残った ・「制度の内外での哲学」という項目に興味を持った ・ボエティウスの『哲学の慰め』を読んでみたくなった
  • 2026年7月27日
    ソクラテスの弁明
    ソクラテスの弁明
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆☆ ※本書には『ソクラテスの弁明』『クリトン』『ゴルギアス』の三作品が収録されている ・教科書に出てくるけど読んだことはない作品その3(さすがに学生時代読んだことあったかもだけど忘れた) ・2500年前から見通されてる感覚…………直前に読んだ方法叙(序)説と比べてみるとかなりシンプルで極論的な部分はあるものの、人間の根源については2500年くらいじゃ変わらない/変われないんだなあとより強く思わされた ・神の思し召しによってそうなっている以上受け入れなければならないという考え方、これがキリスト教徒と親和性高いんだろうなと納得がいった 信じる神自体は違うけど支配神に対する考え方が近いというか だからその後のキリスト教世界でも通用したんだろうなと ・ソクラテスはどうして死を選んだのだろうと、プラトンがソクラテスから教わったことをもとに考えて考えて考えて、やっと自分が納得できた結果なんじゃないかという感じがした キリスト教の始まりもそうだけど、理不尽な死からしか生まれないものってあるのかもしれない……と思った 理不尽を己に納得させるために思考が発展するような…… ・なんていうか……本当にプラトンはソクラテスの汚名をそそぎたかったのだろうなと、ゴルギアスまで読んでものすごく感じた ソクラテスの弁明の内容や、実際に史実として伝わっているらしいことがらを考えても、ソクラテスに対する反発やよからぬ評価、知者と呼ばれながらその実愚か者だったというような言説がソクラテス刑死後の世の中で多く言われていたことは想像に難くないけれど、プラトンはきっとそれが絶対に許せなかったんじゃないかと…………(ただの推測だけど) でももしそうでなければ、つまり当時すでにソクラテスはすばらしい知者だった、ソクラテスを殺した側の方が愚かだったのだという風潮になっていたのであれば、プラトンはソクラテスが何をどのように考え教えていたのかを書くだけで十分だったはずで、特にゴルギアスなんてソクラテスの死後だいぶ経ったあと(19年後とされている)の作品でまでソクラテス自身の正当性や彼が死を選んだことの正当性をほのめかすようなことは書かなくてよかったはず しかし、何も非がなくても裁判にかけられることや死刑になることをことあるごとに議論の例として挙げているということは、そうではなかったということなんじゃないかと思う でも最終的にはプラトンが勝利したことになる 2500年後の私たちには、ソクラテスを貶めた言説は残っているものもあっても重要視されることはなく歴史の向こうにほとんどが雲のように消え去って、プラトンの描いたソクラテスの姿はその後2500年続く西洋哲学の源流とされているだけでなく今でもこうして読まれ、学ばれ、生きているのだから ・ソクラテスは何度も何度も振り返っては進んで振り返っては進んでと議論を展開させていくので読んでる側としてはもう完全にまどろっこしい〜〜!!ってなるんだけど、同じように作中でソクラテスと議論している人たちもめんどくせ〜〜!!ってなっているところがプラトンの巧いところであり、そして実際ソクラテスと議論した人たちもそうなってたんだろうなと思わされる笑
  • 2026年7月23日
    方法叙説
    方法叙説
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・教科書に出てくるけど読んだことはない作品その2 ・この翻訳とても読みやすいのでおすすめです ・(当たり前なのだけど)実存についての話がかなり出てくるので先に中世哲学の本を読むべきだったなと今思っている、薄いからすぐ読めそうという単純な理由で読み始めてしまった笑 同時に借りてきてるので読んだらこちらも軽く読み返すつもり ・誰もが習う「我思う、ゆえに我あり」に至った思考のプロセス これを見て、中学生のときに自分以外のすべて、自分が知覚するすべてが幻だったらどうしようと思ったことがあり、でもそれを恐れている私は確かにここにいるわけだから他のみんなも存在しているのか、ということを考えたことがあるのを思い出した笑 ・「完全なものがなにかどこかにあるはずだ」「この世には真理がある」という考え方、乱暴な帰結かもしれないが一神教の世界観らしいなと感じた また、こういうことは言ってはいけないのかもしれないけど、全体を通して宗教という枠組みの中で考えることの限界を感じてしまった ・人間を模倣した機械があったとしてそれらと人間とを区別するための方法について述べている部分があるのだが、17世紀にここまで考えられてるの怖……っ!!!!と思った 今読んでも同意できる部分はありつつ、言語の扱いについてはAI同士で会話を楽しむ様子等を見ると(もちろん自我があるわけではなく人間の行動を模倣した上で成立した出来事であるとはいえ)ちょっと不安な気持ちになる……デカルトの思考を徐々に現実が追い越していっているというべきか、デカルトの思考を追い越すまでに400年かかったと言うべきか
  • 2026年7月22日
    前世を記憶する子どもたち 2
    前世を記憶する子どもたち 2
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆ ・いわゆるトンデモ研究本なんだろうな〜という認識で読み始めてしまったが、その範疇には到底収まりきらない内容だった ・安易に「生まれ変わり」だ、「前世」だと断定することは一切なく、他に考えられる解釈が検証の過程で排除されていったときに初めて「生まれ変わり」や「前世」といった解釈が妥当とみられる、とのみ述べている 未決例(生まれ変わりや前世といった解釈が妥当とは言えないとされる例)も多く取り上げられており、どういった観点から未決と既決を判断しているのかについてもしっかりと説明されている ・個人的には、実際に生まれ変わりなのかというのは別として、そうであると当事者が認識している記憶やイメージ、現象について多くの事例を読むことが目的だったのでそれは十分に達成できたと感じている ・訳者後記の「科学とは方法のことであって、その結果として生み出される科学知識とは区別しなければなりません。科学という方法は、将来的にも同じように利用されるでしょうが、科学知識は、絶えず塗り替えられる宿命にあるのです。現行の科学知識を絶対視する人たちは、真の科学者とは似て非なるものなのです。」という言葉が非常に心に残った この考え方に則れば、本書は紛れもなく真の科学者の仕事によって編まれたものだと言える ・英語の論文の構成をそのまま訳しているためか少々読みづらいのだけが難点(訳書を読み慣れていればまあついていけるくらいで、翻訳が悪いというほどではない)
  • 2026年7月18日
    神曲 煉獄篇
    神曲 煉獄篇
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・地獄篇からダンテの置かれた状況や心理状態が変化していることが窺えて面白かった ・冒頭の解説で地獄篇を2年ほどで書き上げたと知って衝撃だった 知識、教養が全部自分の中にあったんだなと……すごい ・キリスト教的価値観の中でいままで「?」と思っていた部分についていくつか、なるほどこういう論理なんだなと腑に落ちた もちろん現在の価値観とは違うところもあるかもしれないけど ・「ダンテの発想は商人の文化から来ているものが多い」という注を読んで、地獄篇でも煉獄篇でも生前の報いをどんな人間でも(事情によっては同情しつつも)確実に受けていたり、聖職者批判が痛烈だったり、きわめて実質的だなあと思ったのを思い出した そのあたりがやっぱりお金をきちんと払うか払わないかが基準の商人っぽいところだったりするのかな、と そして私がそれに対してあまり違和感を覚えないのは資本主義の日本に育ったからなのかもしれない 逆に同時代人の方が違和感覚えた人多かったりしたのかもと思った ・「身の上」という言葉に注がついていて衝撃だった…… 今や解説が必要な語彙なのか…… ・旧友に対してのみダンテの一人称が“俺”になるところ、イタリア語には一人称の種類はないらしいのだが口調に合わせて訳したって感じなのかな ・本文に『そして来世に渡ると』という部分があり、これはベアトリーチェの台詞なので「来世」とは天国に行った(=死んだ)ことを指すのだと思うけど、この日本語訳を日本人が読んだら誤解しそうだなと思った ・各歌解説「友情の篇とも言われる「煉獄篇」は、異なる考え方を持つ他者を受け入れ、その理解、つまり友情をもとにした調和の世界の再構築を目指すことに繋がっている。」 「調和の世界」を目指しているというのは地獄篇から通底している ・ダンテとフォレーゼがラップバトル(詩でのdisり合い)をしてたという話に思わず笑ってしまった 人間って変わらない ・これでやっと天国(篇)に行ける!
  • 2026年7月17日
    世界でいちばん透きとおった物語
    好き度☆☆ おすすめ度☆☆☆ ・たまには最近流行ってるらしい小説でも読むか〜と思って買って3年くらい積んでいた本 ・ギミックについてはおお〜と思ったしよく実現したなと思う一方、展開としては大枠はほぼ予想通りだったので帯や紹介文にあったような「絶対に予測不可能な衝撃のラスト」というほどではなかったかなという感想 ・もともとミステリ好きの人、ギミック好きな人にはいいかもしれない ・村上春樹の直後に読んだことも大きいかもだけど、倫理観が令和でとてつもなく安心感を覚えた 不快さはまったくなかった ・ただ、個人的には特に主人公の描写が中途半端だった感じがした 状況から理解できるものの精神的に幼く、物語を通じて成長した感じもあまりしない……ぬるっと始まってぬるっと終わる これも令和らしさなのかもしれないが…… 主人公含め登場人物たちがまるで台本通りに演じる役者のようで生きている感じがない ・全体的に木を見て森を見ずといった印象 個人的には特に心が動く瞬間はなかった(私が主人公を好きになれなかったというのが大きそう)
  • 2026年7月17日
    国境の南、太陽の西
    好き度☆ おすすめ度☆ ・今まで何回も読みかけては挫折していたものの、村上春樹作品について何か言うのであれば少なくとも1冊は何か読むべきだなと思って読んだ作品(なお、過去に『中国行きのスロウ・ボート』は読んだことがあるが印象も何も覚えていない) ・祖母に「これなら読みやすいんじゃない?」と言われてもらった本だったのだけどごめんおばあちゃんやっぱり無理でした…… ※以下この作品および村上春樹を好きな人は読まないことをおすすめします ・読んでいて、ウワッキモッ!って累計100回くらい思った ・が、だんだん主人公の男の自己中さやしょうもなさが自分と重なって見えてきてウワーッ!となった 結局主人公は強烈な自己愛のもとで”欠落そのものを自分自身”とするものの最後には変化の兆しのみを見せて終わるわけだけれど、反面教師にするならこれはこれで読む価値があるのかもしれない ・主人公以外の登場人物がすべて舞台装置的すぎる 単なる機能であり個々の人生が感じられない ・島本さんが去っていった理由は読者にはわかるけど主人公にはわからない 全部捨てようと決意したけど結局捨てることもできずダラダラと限界かも〜みたいに言ってた人生を続ける男、皮肉だったらいいけどそうじゃなかったらなんなん……?という感じの終わり方 ・とはいえ、個人的にはこんなに不快な思いをしてまで読むものなのかなという疑問が拭えなかったので今後も村上春樹作品を読むかどうかはわかりません
  • 2026年6月15日
    デザインあふれる森の国 フィンランドへ 最新版
    (同じシリーズのブダペストのガイドブックと併せて読んだため若干内容が重複しています) メジャーな観光名所からマイナーなお店、カフェ、スポットなども載っていて、今まで読んだガイドブックの中で個人的にはナンバーワン! 現地に在住している方が書かれているからこその情報や、現地の文化などについても載っている 同じシリーズでもそれぞれ著者が異なるため、構成や掲載スポットのセレクトなどにそれぞれ個性があり、画一的でなく面白い フィンランド版にはフィンランドの郷土菓子のレシピなども載っていて、旅の前や最中だけでなく帰ってきてからも楽しめる工夫がされていた ブダペスト版の方にも書いたけれど、このシリーズのガイドブック縛り旅とかもしてみたいなと思った 今回フィンランド(ヘルシンキ)には1日半しかいられなかったのでフィンランドメインの旅行もしてみたい! なお、2023年の出版(つまり2022年コロナ禍中の情報?)で営業時間など変更されているお店がかなりあり、(本書内にも営業時間などは最新のものを調べてとなっているが)本当にちゃんと調べることをおすすめします!
  • 2026年6月15日
    改訂版 ハンガリー・ブダペストへ――夢見る美しき古都 旅のヒントBOOK
    旅行に行ってきました(そのため6月一冊も読みきれなかった) メジャーどころはもちろん、マイナーなスポットやお店なども載っていて、今まで読んだガイドブックの中で一番良かった! 掲載されている工芸品店(Folkart kézművesház)に行ったところとても素敵な出会いがありました 現地に在住している方が書かれているからこその情報や、現地の文化などについても載っている 同じシリーズでもそれぞれ著者が異なるため、構成や掲載スポットのセレクトなどにそれぞれ個性があり、画一的でなく面白い 同じシリーズのフィンランドもとても良かったのでこのシリーズ縛りの旅とかもしてみたいなと思った
  • 2026年5月29日
    神曲 地獄篇
    神曲 地獄篇
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・全部に意味があって緻密で、すごい 確かにこれはすごい 世界史の教科書に絶対出てくるタイトルだけど、一回読んでみてよかった ・と同時に、登場人物は神話や歴史上の人物からダンテと同時代のフィレンツェの貴族たちまでかなり幅があり、なんなら後者の方が分量としては多めにも感じられることから、大きなテーマの中で卑近な内容を扱っているようにも思えてちょっとおもしろかった ダンテにとっての“世界”はフィレンツェだったからなのか…… 神曲の地獄に知り合いを登場させているのはダンテの私怨ではとよく言われているがそうではない、とこの版の訳者は言っているけど、私怨でないとするのであれば、知っている人々の生前の行いをもとにダンテが神に代わって罰していることになり、それはそれで結構傲慢では……?と思った ・教皇批判、教会批判が想像以上に痛烈でびっくりした こんなの書いて大丈夫だったんだ ・ベアトリーチェは〈神の恵み〉という語義上の名前であって、よく言われる「永遠の恋人」ではない、という説に現在はなっているというのはなかなか衝撃的だった でも他にも神の恵みを意味する名前ってそこそこあるし……? TheodoreとかDorotheaとか……? でもBeatriceにしたってことはね……?とか考えてしまうのだけどどうなんだろう ・昔フィレンツェに行ったとき偶然ダンテの生家に通りかかったことがある 当時はあまりよく知らなかったので特に何の感慨もなくほうほうと思って通り過ぎたけど、不在中に追放されたまま結局一生帰れなかったことを改めて考えると感慨深さが今更ながら変わってくる その後の人生で平和を第一に考えていたというのも、平和になってフィレンツェに帰りたかったからだろうし…… ・現在煉獄篇を読んでいます
  • 2026年5月17日
    宗教のきほん 「愛」の思想史
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・とても読みやすかった! ・(基本的には)章が進むごとに時代も進んでいく構成だが、とある章で引用したテクストがその後の章の内容を理解するために必要なものになっていたりと、組み立てがとても巧みだなと感じた ・キリスト教世界の根底にある「愛」について、ここに述べられている内容については非常によく理解できた、と思う! ・筆者の考えははっきり分けて書いてあるのも良かった
  • 2026年5月17日
    トリエステの坂道
    好き度☆☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆☆ ・『「ミラノ 霧の風景」読んだ! 須賀敦子さん訳のユルスナールは読んだことあったけどエッセイもめっちゃいいね……!』という話を祖母にしたら『うちにたくさんあるから読んでいきなさい』と言ってもらい、祖母宅に滞在中に読みきれず譲ってもらった一冊 ・「ミラノ 霧の風景」を読んだときも同じことを思ったんだけど、やっぱり須賀敦子さんのエッセイには寂寥感が通底しているなと 今はいない人たちを思って書かれている、レクイエムのような文章 私の祖母も夫(私の祖父)を早く亡くしていて、読んでいて思うところがあったのだろうなと思った ・「ミラノ 霧の風景」よりもさらに、イタリアの中流以下の階級の人たちについての言及が多かった 夫の家族がテーマになっているからだろうけれど、こうして描かれると改めて、超お嬢様だった日本人が西洋に憧れて渡った先のイタリアで初めて貧困を肌で感じたというのが……でもそれについては直接言葉にするのを可能な限り避けていて、それでも滲み出てくるものがある ・終わり方がすっごくよくって……エッセイ集であるのだけれど、まるでひとつの小説を読んだような気持ちになった
  • 2026年5月15日
    中世の窓から
    中世の窓から
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・大学の授業を聞いているみたいでとても読みやすかった! 前半は大学一、二年あたりの概説、後半はそれ以上という感じ? ・ひとつひとつの事象を挙げるだけではなく、その奥にある当時の人びとの価値観、思考回路、感情を明らかにし、そして現代にも生き続ける人々の心の根底にあるものを読み解いていく……というのがものすごく面白かったし、これこそが歴史学なのだなと思わされた ・特に終盤のべギン会をはじめとする中世の女性たちや貧民についての章が面白かった! 著者の他の本も読んでみたい
  • 2026年5月6日
    異端審問
    異端審問
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・チ。副読本として読了 ・タイトル通り異端審問について一通り学べたと思う フランス、特に南フランスについての情報が多いけど法王勅令についてもしっかり出てくるので全カトリック世界的にどうだったのかもわかる ただ、「政治的な条件との関係によって異端審問の性格が決定された」と本文にあった通り地域や時代によってさまざまだったよう
  • 2026年5月5日
    東方キリスト教の世界
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆(期せずしてポーランド史をざっと学べた) ・読み初めてすぐ思ったけど、これ絶対先にキリスト教全体についての本読んだ方がよかった笑 まだついていけてるからこのまま読むけど、限界感じたら一旦返して別の本読んでから戻ろうかな〜 と思っていたら返却期限までに読み終えられず、一旦返してそのあいだにキリスト教全体についての書籍を何冊か読み、その後もう一回借りて続きから読んだらするっと理解できるようになってた! やっぱり事前知識って大事 ・内容がかなり専門的で、これ絶対論文集だなと思いながら読んでたけど巻末に各章(=各論文)の初出一覧載ってて、だよね〜と思った ・やっぱりキリスト教社会の監視システム(語弊)ってすごいんだな……と思わせられる部分があった一方で、中世にモスクワの牢から脱獄してイタリアまで逃げのびた(!?)人の話が出てきたりと笑、専門的ながらかなり面白かった笑 ・「現代」についての論文は(当然なのだけど)かなり時代を感じた……というのもまだソ連だったころに書かれているので…… ・あとがきに、研究が進んだことによる訂正などいくつか載っていてありがたかった
  • 2026年4月24日
    キリスト教入門
    好き度☆ おすすめ度☆ ・前半の、聖書の各書の要約はだいぶ参考になった(☆はこの分) ・ただ、著者の他の書籍についての明らかな誤記があり正確さに欠けるというレビューを見かけ、あんまり信じられなくなってきたところで(イエスの時代の)ギリシャ語をローマ帝国の公用語と言い切ってる(ギリシャ語の公用語化は629年、それまでは準公用語)とか、自分でもうーん……?という部分を見つけてしまったりして、あんまり信用できていない これ1冊で終わらせようとしているわけではなく他の本も読んでいるからいいけど……(いいのか……?) ・ところどころ謎にフランス語読みで用語を出してくるんだけど(アクエンアテン→アケナートンとかヒューマニズム→ユマニズムとか)日本でメジャーな方にすれば……?と思ったりもした なんか嫌味な感じ(ド主観) 普通に校正入るだろうしなんで変えないのか謎…… ・幼きイエスの聖テレジアについての >テレジアは、じつはその自伝である『ある霊魂の物語』が死後にベストセラーとなり一世を風靡して聖女の列に加えられた、近代カトリックのスター的存在である。あまつさえその独自の「小さな神学」によって「教会博士」の称号を授かっている (「あまつさえ」って何……?) とか、ブックガイドの >シンガポールの中国人や欧米にいる華僑はキリスト教徒でなくても欧米風の通称を平気で名乗っているが (「平気で」……?)(あと"シンガポールにいる華人"と"中国人"って厳密には違わなかったっけ) とか、こういうところに筆者が前者は「何もしてないくせに」(しかも聖テレジアは何もしてないというよりは夭折して何も”できなかった”)後者は「あつかましくも」みたいに思ってるのが滲み出てるように思えてなんか……あんまり…… って感じでした なので私はあんまりこの本を人に勧めたいとは思わないかな……と思いました
  • 2026年4月20日
    西洋占星術史 科学と魔術のあいだ (講談社学術文庫)
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・読んでいて、なるほどそういう流れだったのか!!という納得感がすごくあった ・「科学と魔術のあいだ」という副題のとおり、(現代では)科学とされない占星術の歴史と科学との関係を見ていくことで、逆に科学とは何かということも別方向から考えるきっかけになった ・鏡リュウジの解説が思っていた以上に良かった!
  • 2026年3月10日
    ジェイン・エア 下
    ジェイン・エア 下
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆☆ 終盤は先の展開が気になってすごい勢いで読んでしまった(200ページくらい一気に読んだ)! こんなに夢中になって読んだの久しぶりかも 大筋だけ見ればかなりロマンティックな物語……に見えるが実際はものすごく骨太だった 神の意思を騙ってまで(←怒られそうだけど、こう言いたくもなる)服従させようとする男に対してさえも鉄の意志で抜け出し、自分の意思で自分の道を決め切る強い女、ジェイン 発表当時としては相当先進的な展開だったのだろうな ”感情的な男”vs”理性的な女”を書き上げたあとで”理性的すぎる男”vs”理性的な女”も見せきるの本当にすごい そしてこの”理性的な女”を説得力をもって描ききるために上巻の執拗とも言えるほどの幼少期の描写が必要だったんだなと、上巻の感想でも少し書いたけど改めてそう思った ジェインの自己肯定感の低さとそれによる他者からの扱いに対する認識、これ今で言うところの虐待サバイバーがDV被害者になる道を自分から選んでしまったりする心理っぽい………… これが19世紀の女性が書いた文学なのか……と思うと同時に、もちろん時代を反映した人間関係も生まれては消えていっているはずだけど、普遍的なものもよかれ悪しかれあるんだなあ……と思った 人間って変わらないなあ…… (これが階級社会なのか……!!)と思わせられるシーンもあり、一方で(階級意識とこの認識が両立するのが不思議だ……)と感じたシーンもあり 興味深かった 全体通してとてもおもしろかったんだけど、個人的にセント・ジョンにだいぶイラついてしまって自分の無理なタイプがわかった笑
  • 2026年3月7日
    中世の光と影 下 (講談社学術文庫 206)
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ (上)の方が読み応えはあった気がするけど、(下)後半の中世の面影を残した都市を訪れたときの観光案内やネッカムのロンドン見物をなぞるような街と人々の解説はすごくいきいきと描かれていて読んでて楽しかったし行ってみたくなった 何にでも伏線ってあるんだな……と改めて思った 昨今フィクションにおける伏線が重要視されすぎている気がして、伏線がわかりやすすぎるとフィクション感が増してしまうように感じていたけど、実際問題現実にもわりとあるよなって 高校レベルまでの世界史だと主要な用語しかほぼ習わないからあまり実感がなかったけど、やっぱり何事にも前振りがあってじわじわとそうなっていくものなんだよな……と
読み込み中...