Reads
Reads - 読書のSNS&記録アプリ
詳しく見る
ゆう
ゆう
ゆう
@fleurs_wisteria
芸術/舞踊/民俗学/文化/歴史/哲学←NEW!/小説←NEW!
  • 2026年8月24日
    老人と海
    老人と海
    ・(勝手に)真夏のアメリカ文学キャンペーン第2弾 ・ノーベル文学賞は伊達じゃないんだなと改めて実感した ノーベル文学賞受賞者祭りしたくなってきた ・おお……すごいなあ 本当に漁の数日間だけで物語が完結した 老人の過去等そこまで掘り下げられてるわけでもないのに伝わってくる 逆に、直接的にはあえて語られないからこそ、行動や仕草から老人の内面が窺えるっていうのがすごくよかったな ・描写がすごく映像的だから一本の映画を観たような感覚 ・決してハッピーエンドではないのになぜか爽快感がある ・人間の老いを感じた……教えた子にいつか(精神的に)すがるようになる…… ・the boyを従来の訳「少年」と違って「若者」と訳したという版だったけど、話の流れ的に確かに「若者」(青年)くらいの方がしっくりくるんじゃないかなと思った 初読がイレギュラーなのどうかなと思いつつも「最初からこの版を読んでも全然あり」というレビューを信じて読んでよかった ・これはちょっと自分の本棚に置いておきたいかも……と思った(定価770円とお安いし) あとできれば原文読んでみたい
  • 2026年8月23日
    真夏の航海 (講談社文庫 か 135-1)
    真夏の航海 (講談社文庫 か 135-1)
    ・(勝手に)真夏のアメリカ文学キャンペーン第1弾 これまで児童文学以外のアメリカ文学に触れたことがほとんどなかったので 中でも夏っぽい作品を読んでみることに ・退廃的!!支離滅裂な言動!! こういうストーリーだとは全然知らなかったのでびっくりした 不良に対する憧れを抱く世代でも趣味でもないので全然理解はできなかったけど、これ主人公なんらかのメンタル的問題を抱えてるでしょ……と思った ・アメリカ〜〜って感じ そしてアメリカ社会の閉塞感、階級意識を強く感じた それらを自分なりに打ち破ろうとしたグレディ…… 鳥籠の中で暴れて羽を傷つける小鳥みたい ・最後のグレディの台詞がいい ・読み終えたあとはそうでもなかったけどじわじわとしみてくるかんじ 主人公と同年代のうちに読んでみたかったかも……だけど何らかの影響を受けてしまいそうでちょっと怖いかも笑
  • 2026年8月14日
    容疑者Xの献身 (文春文庫)
    ・さすがだ…… とにかくやっぱり設定がうまい だけど、”細かい設定に拘泥してしまっていて全体としてみたときの味が薄い”というようなことがない 全体のために細かい設定が生きている 全体から見れば細かい設定が必然のものになっていて、設定から見たら結末が必然のものになっている 例えばだけどあのラストは「自分が愛を向けられるとは想像もしていない人間」と「愛されることが当たり前の人間」との間でしか起こらないとさえ言える さすがだ……(再) ・「愛」という曖昧で不安定で定量化できなくて、でも人の命をも左右しうる要素がこのド理系のストーリーの最大ファクターに入っているところがぐっときた ・ここまで東野圭吾作品を5作読んできたけど、個人的には一番好きだった もし人におすすめするならこの作品かな ・「容疑者Xの献身」というタイトルと小説冒頭の内容から読者がこの後の展開を察せるようになっているけれど、それを裏切るのではなく、そのルートのままで予想を上回る展開に繋げてくるところに、(もう知ってるんだけど)やっぱりめちゃくちゃ小説が上手い……となった ・表紙が一輪の赤い薔薇なのも、宝石や指輪のようにずっと残る美しいものじゃなく、やがて萎れて枯れて消えてしまうようなものしかあげられない人間のもの悲しさみたいなものが詰まっている感じがしてすごく好きだった ・レビュー等を読んでいると靖子のキャラクターに賛否あるみたいだけど、個人的には東野作品の「犯罪者」はほとんどの場合判断能力が低い人間(簡単に言うなら“愚か“)であり、靖子もその一人だと思っている 愚かじゃなかったら人を殺すことには基本ならないわけなので…… そして今作では靖子をこのような書き方にしているおかげで石神に共感が集まりやすいようになっている だからあのラストが心に残る……つまり、全部計算されているってこと (まあこうは言っても私も靖子はあまり好きではないですが)
  • 2026年8月14日
    告白(3)
    告白(3)
    ・収録されている第11〜13章はほぼ創世記の註解 なるほどそういう解釈をするのか、と納得したシーンがいくつもあった また、アウグスティヌス本人の性格が色濃く出ているのは他の巻と同様だけど、もしかするとこの註解に一番アウグスティヌスの人格が間接的に滲み出ていたかもしれないなと思った ・"造られた生命にとっては、「生きる」ことは、かならずしも「至福に生きる」ことではありません。それは、暗闇のなかをただよいながらも生きるのですから。" この一節が何だか心に残った ・末尾に付されている訳者による「教父アウグスティヌスと『告白』」がめちゃくちゃよかった 訳者本人が中世哲学を選んだ経緯からアウグスティヌスの生い立ち、そしてアウグスティヌスが現代にいたるまでの哲学に与えた影響を語っているのだけど心にしみいった 自分の時代を徹底的に生き抜くことによってのみ永遠性は獲得されうるという言葉は、哲学者のみならず、あらゆる人に響くものだと思う
  • 2026年8月13日
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
    プロジェクト・ヘイル・メアリー 上
    ※微ネタバレあります ・話題になっていた当時タイトルのヘイル・メアリーがアヴェ・マリアだというのを聞いて、つまりもう祈るしかないってことね……と思ったのを思い出した笑 ・巻頭のロケット図を見てヴェルヌの月世界旅行を思い出した ・そして読み始めてから私はSFが苦手だったことを思い出した!!笑 ともかく宇宙に関する話が子供のころからすごく苦手で、高校地理を除いてずっと逃げ回ってきたのだけどそういえばSFもそうだった(克服しようと思って学生時代にヴェルヌを何作か読んだけどそれきりになっていた) シンプルにスケールが大きすぎて怖くって…… →なのだけど、とっても読みやすく、理解しやすかった 知識がなくても、なんなら論理的思考力さえなくても理解できるくらいには噛み砕いて書いてくれている 私のようなSF初心者にはぴったりな作品かも ・目覚めて13年が経過していると気づいたとき地球がどうなっているのか心配する描写が全然ないところに、ん……?となった 教え子たちの未来を想像して暗い気持ちになっていた教師とはなんだか全然違う気が……? あと何となくだけど記憶の中のグレースより現在のグレースの方が楽観的というかもうどうにでもなれーッって言う感じというか……まあ状況が状況だからそうなるのかもしれないけど違和感があった スリープの影響? ・エリディアンの「○○、質問?」という構文ってもしかして日本語や中国語等の終助詞を参考にしてたりしないかなと思った(「○○(です) か?」「○○ 嗎?」) ・1月に予約した上巻、順番が回ってくるまで7か月かかった すこしずらして予約した下巻はいつくるかな〜数か月かかりそう……
  • 2026年8月11日
    白夜行 (集英社文庫)
    ・すっごかった…………あの瞬間のためだけに、積み上げられた19年 ・結局勢いのままに1日で読んでしまった ・東野圭吾作品って、人の内面から物語を描くんじゃなく、物語を外から見せることで人の内面を浮き彫りにするタイプの小説だな、とここまで4作品読んで思った ・あと東野圭吾作品って基本的に環境からして特殊(異常)な人間がメインだから、読んでる側としては自分が“正常”な方の人間だと思いやすい感じがする その上で考えさせてくれるから読者としては割といい気分で読めるってとこはある 逆に言えば、私にもこういうとこあるかも……みたいのが今のところあんまりない、気がする(もちろん、何かが起こっていれば私も彼ら側だったのかもとは思う) こういうとこ、主人公に人間味がないとか、読者に媚びてるとかとも言えてしまうのかもしれないとも思った ・展開上かなり多くの女性が出てくるけど、どの女性もそれぞれすごく違っているのが台詞まわしだけでなく細部から伝わるように書かれていてこの人どれだけ女の人のこと知ってるんだろう、すごいなと思った 特に“上書き”のシーンは、誰か女性から助言をもらっていたのかもしれないと思うくらいにはこの発想が男性から出てくるんだ!?と驚いた ※以下ネタバレあり ・図書館の司書の証言をもとに突き止めたというシーン、図書館の自由に関する宣言に違反するのでは?と思ったけど調べたら利用者の秘密については1979年から追加された項目だった 作中の時間軸は1974年 さすがです ・これだけ執拗に科学の進歩を追いかけていくのであれば終盤で必ずDNA検査について出てくると思っていたら案の定出てきて思わず会心の笑みを浮かべてしまった笑 しかし東野作品読んでると文系としては透明人間になったような気分になる笑 ・笹垣含め第三者は雪穂と亮司の関係性に情緒的なものを期待して大阪店オープンに亮司が来ると踏んでたけど、たぶんあれも全部雪穂の計算の上 もし隠し通すつもりならあんなにわかりやすいことしない つまり雪穂は笹垣が今もあの事件を追っていることからオープン日に張り込むことまで全部わかったうえで、笹垣の目の前で亮司を死なせるっていうあの瞬間のためだけに積み上げられた19年だったということ そうすれば事件は完全に解決できなくなるし、それが刑事にとって一番大きい打撃だとわかっている 雪穂にとっては助けてくれなかった大人も復讐の対象なんだろう ・結局雪穂と亮司の間に何があったのかは具体的には最後までまっっっっったく何も描かれないんだけどそこに痺れた…………そこって書く側としては一番書きたくなっちゃうところじゃないの…………まあでも最後のあれに全部詰まっていると言われたら、確かに詰まっているのだと思うけれど
  • 2026年8月10日
    告白(2)
    告白(2)
    ・Ⅰに引き続き、日本との価値観の違いを特に感じた というかやっぱりキリスト教というか啓示宗教が特異な感じがする ヨーロッパ(特に大陸のゲルマン人)がどのようにキリスト教化されていったのか過程を知りたくなった ・なぜ神は善なるものしか作らないはずなのにこの世に悪は存在するのかという問題や、占星術についての疑問である同日同時間に生まれた主人の子と奴隷の子の運命が同じはずはない問題など、人間が考えることって本当に変わらないんだなと思わされる ・七、八巻の信仰に対する葛藤、神という存在が絶対的にあるという前提のもとで葛藤しているので個人的には共感することは特になかった ・>他人の生活については好奇心から知りたがるくせに、自分の生活は改めようとしない怠惰な連中! p222 急にキレッキレで思わず笑っちゃった すみません ・当時のアウグスティヌス自身についての“告白”が十巻の内容だったけど、なかなかの内容で(当時)現役司教がここまで“告白”してるの本当すごいな……と思った
  • 2026年8月8日
    予知夢
    予知夢
    ・前作に続き、さくっと読める! 前作の感想にも書いたけど、エモーショナルな面がさっくり削られているから読むのに体力がいらないしさっさと読める感じ ・前作の「探偵ガリレオ」よりオカルト寄りになっていて、それが科学で説明されていくのが面白かった そして前作よりさらに人間の汚さが強調されていたように感じた ・特に最後の「予知る」(読みは「しる」)の終わり方、良かった ・前作はいくつか印象的な台詞があってメモしたけど、今作はそれがあまりなかった
  • 2026年8月7日
    探偵ガリレオ (文春文庫 ひ 13-2)
    ・さくっと読める! シャーロックホームズみたいな感じだ(ミステリをシャーロックホームズくらいしか読んだことないので他がわからないけど) ・犯人の動機等について深い言及がないのが意外だった あくまで主眼は謎解きで、殺人者の心理を考えるものではない、らしい てっきりミステリファンって犯罪心理的なところとか恨みつらみといった人間のドロドロを読みたいのかなと思っていたのだけど、ガリレオシリーズが受けてるってことは必ずしもそうではないのかもな と思った 主眼をどこにおくかでこんなに個性が出るんだな〜 この作品群は謎が解けていくスッキリ感を読者に与えることで成功した、と 雑にまとめるとすると、いかにもエンタメって感じだ ・個人的に殺人事件のニュースとか見るだけで結構くらうのだけど、こういう作品ばっか読んでたら何にも思わなくなりそうだなと思った それがいいのか悪いのかは置いておいて ・映像で見たいなと思うシーンが多くて、東野圭吾作品がすごく映像化されてる理由がわかった
  • 2026年8月6日
    告白(1)
    告白(1)
    ・訳が非常にわかりやすく、美しいのでおすすめ ・アウグスティヌスが回心前に放埒な青年期を過ごしたというのは知っていたけれど、いざ読んでみると本当にかなり放埒だなあ……という感じでシンプルに読みものとしても面白かった ・自伝的内容に織り込まれている考察部分も興味深かった 特に、現代においてはなんの迷いもなく“娯楽”に分類される悲劇というものを楽しむ人間の心については考えさせられた 正義に対する価値観というのがまったく違うんだなというのも実感した 神に属するものだからそりゃそうか……とは思いつつ あと“ソドム人のしたような、自然本性に反する醜行”がなぜ許されないのかの理由と論理がわかってなるほどねと思った ・巻末の「『告白』山田晶訳をもつということ」で引用されていた山田晶氏の”古典はすぐに読んで理解できるようなものではなく、何度も繰り返し、さまざまな方向から「解読」することによってのみ理解できるものだ”という部分、本当にそうだけど、時間的制約や知識量等々が圧倒的に足りないことが多く実際にはできていない〜 だからこそ解説や註解の意味があるのだなとも思った
  • 2026年8月4日
    手紙
    手紙
    ・ミーハーなのは承知で訃報を聞いてすぐに図書館で予約した本① 普段現代小説も邦画もドラマもほぼほぼ触れないため、こちらが人生初東野圭吾作品 ・読み始めてようやくこれミュージカルの「手紙」の原作か!!と気付いた(観たことはないが存在は知ってた) ・だんだんのめり込んで結局一日で読んでしまったし中盤以降全然メモがない笑 ・背表紙の紹介文に”犯罪加害者の家族を真正面から描き”とある通り、本当に真正面から書いているな……という感想 正しいとか間違っているとかそういうものさしでは測れない、これが人間の作り上げる社会なのだと それには犯罪も刑罰も含まれている 決して単なる例外ではなくて、全部含めて人間の社会なんだと…… ・同時にアウグスティヌスの「告白」を読んでいたのだけれど、罪と罰について近い考え方が出てきて驚いた 偶然の一致というわけではなさそう
  • 2026年8月3日
    台湾漫遊鉄道のふたり
    台湾漫遊鉄道のふたり
    約10年前に初めて台湾へ行ったとき、かなりショックを受け、罪悪感を抱き、そして無力感に打ちひしがれた記憶をありありと思い出した こうして物語にしてくれて、そしてそれを日本語で読めるようにしてもらえたことに感謝 千鶴子のキャラクターはかなり帝国に重なっている部分があると思うけど、だがしかし帝国がそのまま千鶴子になっているわけでは思われる……とするなら、千鶴子の性格が台湾でだけではなくてどこにおいても同じように描かれているのは一種の救いでもあり、でもやっぱり皮肉でもあるな、と思った という感じで、題材から予想はしていたけれど、その予想以上に考えさせられる作品だった!!
  • 2026年8月1日
    オセロー ――シェイクスピア全集(13) (ちくま文庫)
    ・読み終わった瞬間、おもしろかったー!と思った 悲劇ではあるんだけど、興味深さも含めて私の中では”面白い”が勝った ・シェイクスピア自体大学時代ぶりに読んだけど(オセロではなかった気がする)、あのころ本を開くとすぐ寝ちゃって全然読み進められなかったのは一体なんだったんだろう??と思うほど面白くて一日で読んでしまった!(シンプルに睡眠不足だっただけな気がしてきた……) シェイクスピア全部読んでみたいかも ・かなり多様な立場の登場人物が出てくるけど、それぞれがそれぞれの立場から考え、発言しているように書かれている点がさすがだった 特にエミリア(中流階級女性)ビアンカ(娼婦)の台詞には驚いた 17世紀の男性がこれを書いたのか〜……と ・訳注がとても充実していてありがたかった youとthouの使い分けから原文に仕込まれた皮肉な表現まで! ・巻末に上演記録があって、ああ戯曲なんだな〜と実感した
  • 2026年8月1日
    哲学がわかる 中世哲学
    哲学がわかる 中世哲学
    ・原著に誤記や明らかな誤り(邦訳では原著者と相談して対処済みとのこと)があると訳者による注釈があるなど、ん?と思われる部分もなくはないものの、著者が中世哲学の範囲と定義する西暦200年〜1700年という長い時の中で、古代ギリシア哲学という共通の起源を持つラテン・キリスト教哲学、ギリシア・キリスト教哲学、アラビア哲学、ユダヤ哲学の4つの哲学的伝統において、時に影響しあい、時に異なる方法でどのように哲学という営みが発展してきたかということについて、包括的に把握できた 著者が「歴史的分析」と呼ぶ多角的な視点からの分析も興味深かった 特に思想家たちの読んだテキストについて、個人的には当然前提として把握されていたのではと思っていたけど哲学研究においては必ずしもそうではないっぽい? ・4章以降の哲学の諸領域についてはかなり概説的なのでこの一冊だけで理解できたとは感じられない(ので他の本も読んでみるつもり) ・原著の英語にかなり忠実に訳されているので、正直なところわかりやすさはほぼない (ただ訳注がとても丁寧だし補足もされてるし日本の読者のための読書案内まで付記されている!) ・著者が完全に「ラテン・キリスト教哲学の伝統」の中にいることが文章から窺え、個人的にはすべての哲学的伝統を客観的に理解・分析しているかに関しては疑問が残った ・「制度の内外での哲学」という項目に興味を持った ・ボエティウスの『哲学の慰め』を読んでみたくなった
  • 2026年7月27日
    ソクラテスの弁明
    ソクラテスの弁明
    ※本書には『ソクラテスの弁明』『クリトン』『ゴルギアス』の三作品が収録されている ・教科書に出てくるけど読んだことはない作品その3(さすがに学生時代読んだことあったかもだけど忘れた) ・2500年前から見通されてる感覚…………直前に読んだ方法叙(序)説と比べてみるとかなりシンプルで極論的な部分はあるものの、人間の根源については2500年くらいじゃ変わらない/変われないんだなあとより強く思わされた ・神の思し召しによってそうなっている以上受け入れなければならないという考え方、これがキリスト教徒と親和性高いんだろうなと納得がいった 信じる神自体は違うけど支配神に対する考え方が近いというか だからその後のキリスト教世界でも通用したんだろうなと ・ソクラテスはどうして死を選んだのだろうと、プラトンがソクラテスから教わったことをもとに考えて考えて考えて、やっと自分が納得できた結果なんじゃないかという感じがした キリスト教の始まりもそうだけど、理不尽な死からしか生まれないものってあるのかもしれない……と思った 理不尽を己に納得させるために思考が発展するような…… ・なんていうか……本当にプラトンはソクラテスの汚名をそそぎたかったのだろうなと、ゴルギアスまで読んでものすごく感じた ソクラテスの弁明の内容や、実際に史実として伝わっているらしいことがらを考えても、ソクラテスに対する反発やよからぬ評価、知者と呼ばれながらその実愚か者だったというような言説がソクラテス刑死後の世の中で多く言われていたことは想像に難くないけれど、プラトンはきっとそれが絶対に許せなかったんじゃないかと…………(ただの推測だけど) でももしそうでなければ、つまり当時すでにソクラテスはすばらしい知者だった、ソクラテスを殺した側の方が愚かだったのだという風潮になっていたのであれば、プラトンはソクラテスが何をどのように考え教えていたのかを書くだけで十分だったはずで、特にゴルギアスなんてソクラテスの死後だいぶ経ったあと(19年後とされている)の作品でまでソクラテス自身の正当性や彼が死を選んだことの正当性をほのめかすようなことは書かなくてよかったはず しかし、何も非がなくても裁判にかけられることや死刑になることをことあるごとに議論の例として挙げているということは、そうではなかったということなんじゃないかと思う でも最終的にはプラトンが勝利したことになる 2500年後の私たちには、ソクラテスを貶めた言説は残っているものもあっても重要視されることはなく歴史の向こうにほとんどが雲のように消え去って、プラトンの描いたソクラテスの姿はその後2500年続く西洋哲学の源流とされているだけでなく今でもこうして読まれ、学ばれ、生きているのだから ・ソクラテスは何度も何度も振り返っては進んで振り返っては進んでと議論を展開させていくので読んでる側としてはもう完全にまどろっこしい〜〜!!ってなるんだけど、同じように作中でソクラテスと議論している人たちもめんどくせ〜〜!!ってなっているところがプラトンの巧いところであり、そして実際ソクラテスと議論した人たちもそうなってたんだろうなと思わされる笑
  • 2026年7月23日
    方法叙説
    方法叙説
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・教科書に出てくるけど読んだことはない作品その2 ・この翻訳とても読みやすいのでおすすめです ・(当たり前なのだけど)実存についての話がかなり出てくるので先に中世哲学の本を読むべきだったなと今思っている、薄いからすぐ読めそうという単純な理由で読み始めてしまった笑 同時に借りてきてるので読んだらこちらも軽く読み返すつもり ・誰もが習う「我思う、ゆえに我あり」に至った思考のプロセス これを見て、中学生のときに自分以外のすべて、自分が知覚するすべてが幻だったらどうしようと思ったことがあり、でもそれを恐れている私は確かにここにいるわけだから他のみんなも存在しているのか、ということを考えたことがあるのを思い出した笑 ・「完全なものがなにかどこかにあるはずだ」「この世には真理がある」という考え方、乱暴な帰結かもしれないが一神教の世界観らしいなと感じた また、こういうことは言ってはいけないのかもしれないけど、全体を通して宗教という枠組みの中で考えることの限界を感じてしまった ・人間を模倣した機械があったとしてそれらと人間とを区別するための方法について述べている部分があるのだが、17世紀にここまで考えられてるの怖……っ!!!!と思った 今読んでも同意できる部分はありつつ、言語の扱いについてはAI同士で会話を楽しむ様子等を見ると(もちろん自我があるわけではなく人間の行動を模倣した上で成立した出来事であるとはいえ)ちょっと不安な気持ちになる……デカルトの思考を徐々に現実が追い越していっているというべきか、デカルトの思考を追い越すまでに400年かかったと言うべきか
  • 2026年7月22日
    前世を記憶する子どもたち 2
    前世を記憶する子どもたち 2
    好き度☆☆☆ おすすめ度☆☆☆ ・いわゆるトンデモ研究本なんだろうな〜という認識で読み始めてしまったが、その範疇には到底収まりきらない内容だった ・安易に「生まれ変わり」だ、「前世」だと断定することは一切なく、他に考えられる解釈が検証の過程で排除されていったときに初めて「生まれ変わり」や「前世」といった解釈が妥当とみられる、とのみ述べている 未決例(生まれ変わりや前世といった解釈が妥当とは言えないとされる例)も多く取り上げられており、どういった観点から未決と既決を判断しているのかについてもしっかりと説明されている ・個人的には、実際に生まれ変わりなのかというのは別として、そうであると当事者が認識している記憶やイメージ、現象について多くの事例を読むことが目的だったのでそれは十分に達成できたと感じている ・訳者後記の「科学とは方法のことであって、その結果として生み出される科学知識とは区別しなければなりません。科学という方法は、将来的にも同じように利用されるでしょうが、科学知識は、絶えず塗り替えられる宿命にあるのです。現行の科学知識を絶対視する人たちは、真の科学者とは似て非なるものなのです。」という言葉が非常に心に残った この考え方に則れば、本書は紛れもなく真の科学者の仕事によって編まれたものだと言える ・英語の論文の構成をそのまま訳しているためか少々読みづらいのだけが難点(訳書を読み慣れていればまあついていけるくらいで、翻訳が悪いというほどではない)
  • 2026年7月18日
    神曲 煉獄篇
    神曲 煉獄篇
    好き度☆☆☆☆ おすすめ度☆☆☆☆ ・地獄篇からダンテの置かれた状況や心理状態が変化していることが窺えて面白かった ・冒頭の解説で地獄篇を2年ほどで書き上げたと知って衝撃だった 知識、教養が全部自分の中にあったんだなと……すごい ・キリスト教的価値観の中でいままで「?」と思っていた部分についていくつか、なるほどこういう論理なんだなと腑に落ちた もちろん現在の価値観とは違うところもあるかもしれないけど ・「ダンテの発想は商人の文化から来ているものが多い」という注を読んで、地獄篇でも煉獄篇でも生前の報いをどんな人間でも(事情によっては同情しつつも)確実に受けていたり、聖職者批判が痛烈だったり、きわめて実質的だなあと思ったのを思い出した そのあたりがやっぱりお金をきちんと払うか払わないかが基準の商人っぽいところだったりするのかな、と そして私がそれに対してあまり違和感を覚えないのは資本主義の日本に育ったからなのかもしれない 逆に同時代人の方が違和感覚えた人多かったりしたのかもと思った ・「身の上」という言葉に注がついていて衝撃だった…… 今や解説が必要な語彙なのか…… ・旧友に対してのみダンテの一人称が“俺”になるところ、イタリア語には一人称の種類はないらしいのだが口調に合わせて訳したって感じなのかな ・本文に『そして来世に渡ると』という部分があり、これはベアトリーチェの台詞なので「来世」とは天国に行った(=死んだ)ことを指すのだと思うけど、この日本語訳を日本人が読んだら誤解しそうだなと思った ・各歌解説「友情の篇とも言われる「煉獄篇」は、異なる考え方を持つ他者を受け入れ、その理解、つまり友情をもとにした調和の世界の再構築を目指すことに繋がっている。」 「調和の世界」を目指しているというのは地獄篇から通底している ・ダンテとフォレーゼがラップバトル(詩でのdisり合い)をしてたという話に思わず笑ってしまった 人間って変わらない ・これでやっと天国(篇)に行ける!
  • 2026年7月17日
    世界でいちばん透きとおった物語
    好き度☆☆ おすすめ度☆☆☆ ・たまには最近流行ってるらしい小説でも読むか〜と思って買って3年くらい積んでいた本 ・ギミックについてはおお〜と思ったしよく実現したなと思う一方、展開としては大枠はほぼ予想通りだったので帯や紹介文にあったような「絶対に予測不可能な衝撃のラスト」というほどではなかったかなという感想 ・もともとミステリ好きの人、ギミック好きな人にはいいかもしれない ・村上春樹の直後に読んだことも大きいかもだけど、倫理観が令和でとてつもなく安心感を覚えた 不快さはまったくなかった ・ただ、個人的には特に主人公の描写が中途半端だった感じがした 状況から理解できるものの精神的に幼く、物語を通じて成長した感じもあまりしない……ぬるっと始まってぬるっと終わる これも令和らしさなのかもしれないが…… 主人公含め登場人物たちがまるで台本通りに演じる役者のようで生きている感じがない ・全体的に木を見て森を見ずといった印象 個人的には特に心が動く瞬間はなかった(私が主人公を好きになれなかったというのが大きそう)
  • 2026年7月17日
    国境の南、太陽の西
    好き度☆ おすすめ度☆ ・今まで何回も読みかけては挫折していたものの、村上春樹作品について何か言うのであれば少なくとも1冊は何か読むべきだなと思って読んだ作品(なお、過去に『中国行きのスロウ・ボート』は読んだことがあるが印象も何も覚えていない) ・祖母に「これなら読みやすいんじゃない?」と言われてもらった本だったのだけどごめんおばあちゃんやっぱり無理でした…… ※以下この作品および村上春樹を好きな人は読まないことをおすすめします ・読んでいて、ウワッキモッ!って累計100回くらい思った ・が、だんだん主人公の男の自己中さやしょうもなさが自分と重なって見えてきてウワーッ!となった 結局主人公は強烈な自己愛のもとで”欠落そのものを自分自身”とするものの最後には変化の兆しのみを見せて終わる
読み込み中...