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@bunkobonsuki
2026年8月18日
臨床心理士の著者は、不安を抱えた人々を観察する。実務で出会った体験談と、臨床心理の知見を「小舟」という比喩から伝える一冊。
なぜ、本書は「小舟」やら「馬とジョッキー」やら比喩が目立つのだろう。他の心理に関する本は、比喩を用いず直接伝えている。
あとがきで触れられているが、もともとこの本はインタビューを文字起こしして刊行される予定だったという。他の本の同じような構造の予定だったわけだ。
それが、「このままでは伝わらない」と感じたらしい。比喩を使った文体で書かなければならないと思った、と。
事業の失敗、不倫、緊張、いろんな苦しみを扱う本書において、現実をそのまま捉える書き方は、書く方も読む方も苦しかったに違いない。
比喩は現実を薄める処方箋である。
カルピスの原液を薄める水のようなもので、だからこそ良い塩梅になるケースがある。
なんでも見つかる夜。
見つけたものに対する解釈をするのは自由である。見つからない「こころ」とは、ものを解釈=比喩するところから生まれるのかもしれない。



