masarumilano "見えるか保己一" 2026年7月24日

見えるか保己一
見えるか保己一
蝉谷めぐ実
作品を貫いていたのは保己一の学問への純粋な情熱と、それを見る周囲の嫉妬や差別感情とのズレである。保己一は盲人であることにとらわれず学問を追究するが、周囲は「目の見えない人」という先入観で彼を見てしまう。その姿から、人間の劣等感や偏見の根深さを感じた。こうした保己一の認識世界は文体にも表れている。終始説明を抑えた文体は、読者にも手探りで保己一の世界を理解させ、彼の世界を追体験させる。そうだとすればこの作者は相当な手練れである。
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@masarumilano
そして、最終章にも触れなければなるまい。ここで保己一の苦悩が決壊する様は、我々と障がい者本人とのすれ違いの象徴であり、現代にも通じる問題である。むしろ作者は、我々は当時から一歩も前に進んでいないと訴えているのではないだろうか。すぐそこには無限に深い溝が口を開けており、何かの拍子に呑み込まれてしまうほどに我々は愚かである。この認識こそが、本書を貫く芯である。
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