ふじつぼ "ユートピア" 2026年8月18日

ふじつぼ
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@famisaiko
2026年8月18日
ユートピア
ユートピア
湊かなえ
緑豊かな海辺に面した鼻崎町。そこに暮らす三人の女性たちの出会いから始まる群像劇である。 著者の持ち味であるリアリティをもった田舎の閉塞感や心理描写がもたらす逃げ場の無さに加え、三者三様の自分の正しさと傲慢さが主観視点で描かれることで、人間の関わりというものの一筋縄ではいかない複雑さが読者の脳内に波しぶきを立て続ける。 だが、手紙形式で描かれるラストには出すものを出しきったあとの二日酔いの終わりのような、ふらつきながらたどり着いた清涼感を感じた。 "イヤミス"と括られる著者の作品だが、そうやって全ての要素に楔を打ち込んでいくことでしか象れない心象風景へと連れて行かれる独自の効用があると思わされるのだ。 山本周五郎賞受賞作にし未映像化作の本作、またひとつ忘れらない活字の冒険であった。
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