

ふじつぼ
@famisaiko
日本の現代文学を中心に、新書なども。
好きな作家を読み返すことが多いです
読書の半分は読み手の実力が担っていると思っています。
- 2026年9月8日
よだかの片想い島本理生読み終わった買った顔に大きなアザのある大学院生のアイコに、24歳にして巻き起こったひとつの恋。 小さな出会いを経て初めて自己を見つめ直し、迂遠ながらも揺るぎない主体性を獲得していく過程が愛おしかった。 映画化から入っているので、飛坂のセリフのすべてが中島歩の低い声で再生されてしまった。 - 2026年9月6日
- 2026年9月3日
- 2026年8月27日
ハッピー山松田いりの読み終わった買った過剰な自意識と高慢さから全部のボタンをかけ違えてどんどん不可解な地平へと連れて行かれる感覚が面白く一気に読んだ。 それ自体は小説において普遍的なテーマなのだけど、散りばめられたセンスがとにかく現代の感覚に裏打ちされたものによるドライブ感をもたらしていて、今読むべきエンタメに昇華されていた。 これ、主人公女性だったんだよな…?? - 2026年8月22日
去年の冬、きみと別れ中村文則読み終わった - 2026年8月18日
ユートピア湊かなえ読み終わった買った緑豊かな海辺に面した鼻崎町。そこに暮らす三人の女性たちの出会いから始まる群像劇である。 著者の持ち味であるリアリティをもった田舎の閉塞感や心理描写がもたらす逃げ場の無さに加え、三者三様の自分の正しさと傲慢さが主観視点で描かれることで、人間の関わりというものの一筋縄ではいかない複雑さが読者の脳内に波しぶきを立て続ける。 だが、手紙形式で描かれるラストには出すものを出しきったあとの二日酔いの終わりのような、ふらつきながらたどり着いた清涼感を感じた。 "イヤミス"と括られる著者の作品だが、そうやって全ての要素に楔を打ち込んでいくことでしか象れない心象風景へと連れて行かれる独自の効用があると思わされるのだ。 山本周五郎賞受賞作にし未映像化作の本作、またひとつ忘れらない活字の冒険であった。 - 2026年8月14日
チョコレートコスモス恩田陸読み終わった買ったかつて読んだなぜこんなにも天才というものの存在を、読者の前に立ちあがらせるのが上手いのだろう。 蜜蜂と遠雷、のちのspringと併せて芸術三部作といえるのかもしれない。 - 2026年8月6日
- 2026年8月4日
ドミノsengajin,恩田陸読み終わった買ったかつて読んだ登場人物が多く展開も目まぐるしいのに一度も「誰だっけ?」とか「何してたんだっけ?」とは思わずにグイグイ引き込まれるエンタメ小説の金字塔。 東京駅地下の八重洲ブックセンターでは今もなお目立つ場所に山積みで売られていますね。 - 2026年7月27日
センスの哲学千葉雅也読み終わった買ったかつて読んだなんとなく開き直したら変わらぬ読みやすさに一気に再読してしまった。 この時期の外の猛暑と建物内の強すぎる冷房とかを、快と不快とリズムだな……と思うことで乗り切れる、そんな尺度をいくつもくれる大事な一冊だ。
- 2026年7月23日
しろいろの街の、その骨の体温の村田沙耶香読み終わった買った開発途上のニュータウンと思春期の肉体が空虚さをもって共鳴する技法が光る初期の傑作である。 心身ともに主体性を獲得するという多くの人が当たり前に通過していくようなことも、このような迂遠な過程を経てしか経験できない人間だっているのだろう。 同時代にリアルタイムで読めていることがありがたい作家だ。 - 2026年7月22日
滅びの前のシャングリラ凪良ゆう読み終わった買ったかつて読んだ隕石の衝突で一ヶ月後に地球もろとも消滅することが決まった人類。いじめられっ子で学校に居場所が無い高校生・江那友樹を中心に、同じく生きることに絶望していた章別の語り手たちが刻一刻と迫る世界の終わりを前に、自身の生を見つめ直していく一瞬の煌めきが目映かった。 書き終えるの二ヶ月を要したという最後の一日の最後は、それまでの丹念な心理描写とは打って変わって起きた事象のみが書かれていることで、対照的に全員の情念が一気に湧き上がって感じられるラストだった。 著者の作品の中では設定から異質寄りではあるけど、他のヒット作では味わえない読後感に包まれる大切な一冊であることを再確認した。
- 2026年7月19日
買ったかつて読んだ古めかしい下宿・すみれ荘の管理人を務める一悟と気心の知れた入居者たちの穏やかな日々。 そこに芥と名乗る小説家の男が引っ越して来るが、その姿は一悟の生き別れた弟であり、その目的は果たして……。 巻き起こる事件や明らかになっていく事実は、ひとつ屋根の下に同居していてさえもわからない人間の多面性と、愛というものの一筋縄ではいかなさを浮き彫りにさせる。 すみれ荘の面々が丹念に描かれていくなかで、ただ反論を引き出すための露悪要員としてのみ現れるだけの人物がひとり居てしまって、初読と変わらずそこが気になってしまった。 現実にはそんな事ばっかりなので、リアリティとして捉えることも勿論できるのだけど。
- 2026年7月17日
ゾンビ回収婦小砂川チト読み終わった買った現代的モチーフでありながら、普遍的な現実と仮想のあわいを生き来する作風がより深まった快作だった。 実に三回目の候補入りでの芥川賞受賞となったわけだけど、手に取る読者の広汎に届きうるパワーが増したのではないだろうか。 (一度目の家庭用安心坑夫は「おいしいごはんが食べられますように」、二度目の猿の戴冠のときは「東京都同情塔」と並びだったらしい。そりゃ強い……) - 2026年7月17日
わたしの美しい庭凪良ゆう読み終わったかつて読んだ関係性を描くことで産まれる価値観の摩擦と、そこにただあり続ける庭というモチーフが綺麗にまとまっていてするすると読めた。 「結果として、世界は穏やかに分断されていく」 - 2026年7月15日
- 2026年7月12日
神さまのビオトープ凪良ゆう読み終わった買ったかつて読んだ@ カフェ2017年の著者の文芸初作品、平たく言えば非BL第一作。 若くして亡くなった夫の、自分だけにしか見えない幽霊と暮らし続ける主人公うる波が、あらゆる人間たちと出会うことで自身が揺らいだり見つめ直すことでより強固になったりしていく。 「"ふつう"ってこうでしょ」を常に押しつけられる世間への抵抗を続ける、著者の通底した情念のようなものを軽やかに描き切るあたりはのちのヒット作にもつながるエッセンスを存分に感じられる。 無自覚な偏見を自覚させられるための描写が、情報を出す順番による裏切りに頼りすぎているようには思うが、改めて好きな作品だった。 - 2026年7月10日
- 2026年7月9日
- 2026年7月5日
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