夕灯
@yuuhi
2026年8月19日
恋人たちの森
森茉莉
読み終わった
再読
読了 26.08.31
じっくりと文字を追いたい時は森茉莉を読む。
苛烈な想いの重なりはやはり悲劇を生むもので、よくよく読み進めてみると恋愛の美しさよりもその執着がこれらの話の要とされている。
豊かな暮らしや軽妙なお洒落の雰囲気をまとった街並みの描写の中にじわじわと侵食した愛の狂気が、やがて作品を支配していく。
気づけばそうなっている、薔薇色を差した世界がいつのまにか固唾を呑んで見守る物語にすり替わり、読者はそれをすっかり受け入れて読んでいる。
そんな読書における静かなホラーが読者の内にだけひっそり生まれる読書体験は、どうにも独特なものだと感じられてならない。
綺麗だったのに、薔薇色だったのに、それらが失われていくことを「変わった」とは思えないような、妙な説得力があるのだ。
なんて自然で軽やかな本なのだろう、こんなにどろどろしてるのに。
昔はうまく読めてなかっただけで今読んでみると猛烈に商業BLだなこれ…。
