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@bunkobonsuki
2026年8月19日
構造と力
浅田彰
ベストセラー、ロングセラーとされる本の文体は、たいていリーダブルである。万人に伝わりやすいからこそ読み継がれる。それこそが名著の条件——だろうか?
『構造と力』は、名著である。
だが、リーダブルではない。少なくとも「構造主義」という単語を知らない人にとっては、この本が何を語っているのか詳しくは分からないだろう。私だって分からない。
本書は刊行されてから文庫本になるまで数十年かかっている。普通、売れる本というのは数年で文庫本になるものだが、本書は例外的に長い歳月を経て文庫化した。
さて、冒頭の問いに戻ろう。
万人に伝わりやすいからこそ読み継がれる。それこそが名著の条件——だろうか?
私はそうだと思っている。
この本を読んでからよりその思いを強くした。
本書は分からない。
しかし、"伝わる"のである。文中で指し示している単語がどんな現象なのか分からないけれど、実生活につながっていることは確かに伝わるのである。
分かる/分からない
伝わる/伝わらない
二つは似て非なる言葉である。仏哲学研究者の内田樹は、レヴィナスの著作をはじめて読んだ時に「分からないけれど自分に向けて書かれたものだと思った」という。この場合も、「分からないが伝わる」ということが起きている。
意味が解読できないけれど、それでも何か訴えかけてくる。そんな形の名著に出会う機会は貴重だ。