ゆい "こうしてあなたたちは時間戦争..." 2026年8月21日

ゆい
ゆい
@no1sin
2026年8月21日
こうしてあなたたちは時間戦争に負ける
こうしてあなたたちは時間戦争に負ける
アマル・エル=モフタール,
マックス・グラッドストーン,
山田和子,
川名潤
>神々と子供たちを先頭に、アトランティス人たちは船に乗り込んでいく。大地が揺れ、空が燃える中、最も勇敢な者も、ひとつのことだけに打ち込んできた者も、それぞれの仕事をあとに残したまま島を離れる。ノートも計算式も新しいエンジンも置き去りにされる。船で運ばれるのは住民とアートだけ。新たな数学理論を記したノートは焼け、エンジンは融け、アーチは崩れ落ちて魅となる。 もっとおぞましいアトランティスはいくらでもある。それらに比べれば、この島は取り立ててどうということもない。クリスタルもなければ、飛翔する車も、完璧な政府も、サイキックパワーもない(最後の二つは、いずれにしても存在しない)。それでもなお、あの男性は、通常の平均よりも六世紀も早く、蒸気-風車エンジンを作ったし、こちらの女性は、理性とエクスタティックな瞑想を通して、みずからの数学理論にとって“0”の持つ意義をはっきりと認知した。この羊飼いは、支柱なしのアーチ構造を自分の家の壁に取り入れた。どれもみな、ごくささやかなもので、アイデアも基本的なレベルにとどまっていたから、特に有用なものとは見えない。この地で、それらの価値がわかっている者はいない。しかし、この島が消えてしまいさえしなければ、どこかの誰かが通常の歴史より何世紀か早く、それらの意義に気づいて、世界を根本から変えてしまう可能性もあるのだ。(P.64)
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