
トラ
@Toreads1234
2026年8月21日
殺し屋の営業術
野宮有
もしドラであり、希望を見つける物語。ライトなミステリが好きなら即読み推奨。
明るくて、時々暴力的で、理知的で、すごく面白かった。構造としてコメディ、物語としてサスペンス。設定がいい。
びっくりするような仕掛けがある訳ではないけど、何を書いても初めて読んだ楽しさを奪うネタバレになりそう。
耳津は名前が少し強引かも。
百舌はめちゃくちゃ格好いい。伊坂幸太郎の殺し屋シリーズに出てきて欲しいくらい、完成度が高くて少し可愛さもあって。
鴎木が缶コーヒーを飲むシーンがあるけど、そこはちょっと幻滅した。MAXコーヒーとか青いブルマンとか、こだわりがあって缶コーヒーならいいんだけど、あまりそれを感じられず。そこまで美しく賢く無慈悲で、宝石ハイブランド高級車と重ねてきたイメージが一気に崩れてしまったし、能力に疑問を持ってしまった。別のシーンではコンビニコーヒー飲んでるし。高級車は興味なくてもいいからコーヒーにはこだわって欲しかった。
「設計者がヤクでもキメていたのか、この部屋の電気のスイッチは入口とは少し離れた場所にある。」(p.121)
無くてもいいはずの悪口が時々挟み込まれて、その頻度がちょうどいい。
「ただ口を開閉させているよりはいくらかマシなやり取りで、耳津の欠伸の頻度はどんどん増えていく。」(p.224)
見張りで暇な時。もってまわった言い方だけど、好き。
以下ネタバレ含む
書き出しの鳥の話から引き込まれる。そして、この別業種の掛け合わせというのは、結構無条件で好きかも。
やっぱり風間は名前でネタバレしてるあたり、意図的だとしても少し勿体無い。「籠」くらいにして、言われてみれば籠は鳥を閉じ込めるか?くらいの名前にして欲しいかも。
終盤のネタバラシはミステリとして好きな詰将棋みたいな形でいいし、無敵すぎるし、本当に感情が無くて好き。途中、生きる意味について考えたり辿り着きそうになったりした上でのラストがいい。
ちゃんと予想を裏切ってくれて納得できる展開がたくさんあって、本当に一気に読み終えた。

