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@bunkobonsuki
2026年8月21日
ババヤガの夜
王谷晶
腕っぷしの立つ女傑・新道依子は、ふとしたことから暴力団団長の娘・尚子の護衛を任される。暴力、暴言、拷問なんでもありの退廃した世界で、二人は生き抜いていけるのか。
R-18指定レベルの暴力描写が雨あられのごとく飛び込んでくる。だが、読み進めるうちにそうした衝撃は後景に退き、かわりに性の問題に関する議論が前景化する。
本作の構成はとても繊細かつ緻密に作り込まれている。ネタバレを承知で書くのだが、本作はあえて年代をぼかして書かれている。
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我々読者は現代の話として読むために、主人公の在り方も(フィクションだからこそ受容できることもあるが)そこまで不思議に感じない。
こういう対照的な人物のバディ物は主人公が異質な存在であると読者に思わせるものだが、本作の場合、読者は主人公に共感する。
むしろ、良妻賢母を志す尚子に対して「時代遅れだなぁ」という感想を抱く。
だが、読者の予想は完全に裏切られる。
「時代遅れだなぁ」と思っていた尚子の在り方こそ、まさにその時代の標準的な生き方だったのだ!
叙述トリックものはどんでん返しに使われる。カタルシスを与えやすい一方、安易に使うとしらけてしまう。だが、本作のどんでん返しは単なるカタルシスではない。
読者のキャラクターに対する眼差しそのものを変える、劇的な方向転換だ。
『ババヤガの夜』は、今後キャラクター小説に多大な影響を与えるであろう。




