紫嶋 "水車館の殺人〈新装改訂版〉 ..." 2026年8月18日

紫嶋
紫嶋
@09sjm
2026年8月18日
水車館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)
『十角館』を読んだあと、折角だから館シリーズを読破するか!と思い、二作目の『水車館の殺人』も読んでみた。 前作が「本土と島」の二視点で展開していったのに対し、今作は「過去と現在」の二視点で交互に物語が進展していく。過去(一年前)に水車館で何が起こり、それが現在にどのような影を落としているのか。時系列としては行ったり来たりの反復横跳びになるが、現代からの回想や推理の一環として過去パートが物語られることが多いので、それほど混乱することなく自然に読むことができた。 (この「自然に読むことができる」こと自体も一つの叙述トリックになっていたのだと、後になって気付かされる笑) 前作から続けて読んだからか、「島田さんがちゃんと探偵してる……!」というのが第一の感想だった。『十角館』の時は、外野で好き勝手に想像を広げて、当たっていたり当たっていなかったりする推理を繰り広げていた島田さんだったが、今回は単身実際の館に乗り込んできて、推理の先で真相に辿り着いている。 そのさなかに死体も目撃するわけだが、彼が死体を見るのはこれが初めてと言われて、なるほど確かに笑 前作でもあんなに人死にがたくさん出て血なまぐさかったにもかかわらず、そういえば島田さん自身はその現場に全く居合わせていなかったんだよなあとしみじみ。 中村青司が設計した館という共通の舞台設定も提示されて、シリーズ感が出てきたことにもワクワクした。 一連の事件の犯人が誰なのか、本当に姿をくらましていたのは誰なのかについては、普通に読んでいる中でも大体予想はつくかもしれない。細かなトリックや行動の部分まで判明した時、「あっ、だからあの部分はああいう書かれ方をしていたんだ」「なるほど、だからあの時この人はこういう言動をしたんだ」という気付きがセットでやってくる。 『十角館』の有名な「あの一言」ほどの派手なインパクトはないが、この『水車館』もあとからじわじわ効いてくるような、上手い叙述トリックが忍ばせてあったなという印象。それを把握したうえで二周目を読むのも面白いかもしれない。 引き続き、館シリーズを読んでいきたい。
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