
橘海月
@amaretto319
2026年8月22日
そして誰かがいなくなる
下村敦史
読み終わった
#ミステリ
実在する著者の豪邸がミステリの舞台となり、贅を凝らした写真もふんだんに使われていて、それだけでもワクワクする仕掛けとなっている。それ以外にも大小様々な趣向が凝らされていた。話はややスロースタートながら、後半のあれ?そうか!の畳み掛けがよい。
個人的には、冒頭でミステリ作家が洋館を建てようと、建築家やデザイナーと行う打合せがとてもリアルだった。そうそう、家を建てるのは思いの外打合せが必要だし、希望を叶えるのは簡単じゃないんだよね…。旦那の趣味のシアタールームを捻出するために、極小になりかけた子供部屋を死守したのが懐かしい。
物語は森の奥に建てられた洋館に集められた作家、評論家、編集者が雪で閉ざされた中事件が起こる…という古典的なものだが、語り手の視点がコロコロと変わるので、誰も彼もが善意の第三者に見えてくるのが特徴的だ。自ずと館の主人御津島が怪しくなったところで彼が遺体で発見され…と、読者からするとやっとかと思う展開なのが妙。
【ネタバレ】
個人的には、あそこまで贅を尽くして洋館を建てた作家が、何も成し遂げないうちに非業の死を遂げるのはなんだかなぁ…と思っていたので、その点ではよかった。意外な成りすましが複数あるうちの後者は、まさにああ!となって好きな展開。これは本人は楽しかったろうなぁ。



