
読書日和
@miou-books
2026年8月22日
普天を我が手に 第三部
奥田英朗
読み終わった
人間ドラマを通して、昭和を学べる傑作だと思う。
戦後の昭和史って、学校の授業では時間が足りないせいか、飛ばし飛ばしで終わってしまって、大人になってから少しずつ理解したり、学び直したりしている。この本を読んでいても、「ああ、あの事件はこういうことだったのか」「この話はあの事件につながるのか」「こんな見方もあったのか」と、知っているつもりだった出来事を改めて考えさせられることが多かった。
歴史の教科書では出来事として通り過ぎてしまうことが、人間の欲や執念、嫉妬や野心、そして「こうしたい」という思いを持った人たちの物語として描かれることで、昭和という時代がずっと身近に感じられた。
読みながら、日本の高校生以上はみんな一度くらい読んでみてもいいんじゃないか、とまで思った。
「日本人は人の足を引っ張ることに熱中する民族なのである」
痛い。でも、わかる……と思ってしまった。
昭和から数えて100年目の今、そろそろ人の足を引っ張ることより、誰かのやりたいことを応援するほうに熱中する時代になってほしいなぁ、なんて思ったり。
ラストは意外だったような、でもある意味、なるべくしてそうなったのかな、という気持ちもしつつ。
時代や周りの人に振り回されることはあっても、自分が何をしたいのかを見失わず、まっすぐ進もうとする人は強い。
読み終えて、そんな当たり前のようで難しいことを、この四人から教えてもらった気がする。
そして、昭和の終わり頃の空気が、なんとなく今の時代と重なって見えたのも印象に残った。
長かったけれど、読んでよかった。昭和をもう一度、別の角度から学び直したような三部作でした。


