碧星宮アイオ "呪文の言語学" 2026年8月22日

呪文の言語学
以前Xで『盗む鳥、死の犬』を紹介されていた方が同じく紹介していて気になった本。 冒頭「また思ってたのと違うな…」と感じながら読み進めたが、2章あたりから本題が始まってそこからは面白かった。 魔術を学術領域で扱った本として『秘密の古代ギリシャ』『呪われたナターシャ』の2冊を既に読んでいるが、この本はタイトル通り、言語としての呪文の構造そのものに突っ込んでいるのが目新しかった。 あまり知られていないルーマニアの一情景が紹介されているのも面白いと思う。 ただ一点気になったのが、創作されたオリジナルの呪文と、あとがきにあるその説明の部分。 文化の歪曲や盗用を他文化圏の人にされるのが不快だと感じるなら、なぜ自分がそんな”悪ふざけ“をして本文に載せたのか……と思ってしまった。自分は自覚した上でそれを犯したのに、他人を同じことで咎めるのは不公平では?と、それだけで読後の印象がちょっと悪くなった。ルーマニア語の呪文の構造を踏まえて日本語の呪文を作る試み自体は、主旨をわかりやすくし締めくくるものだと思うので、もう少しあとがき部分の言い方はなかったのだろうかと思った。 自分が言語には明るくないことも含め、民俗学中心で同様に東欧をフィールドとした『呪われたナターシャ』の方が好きかもしれない。
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