
のん
@norie1010saran
2026年8月22日

国宝下花道篇 (朝日文庫)
吉田修一
読み終わった
語り口が落語みたいだなと感じた。
そしてこの語りが終盤になるにつれ不気味に感じてくる。
私はこの語部を"芸事の神様"ではないかと思った。
喜久雄が神社で「悪魔と契約した」とも言っていたが、悪魔ではなく所謂神様だったのでは?
神様は大切なものを守るためだったら何だってする。
歌舞伎の芸を守るためなら何だってする。
芸事を守るためなら(人間目線で)人を幸福にだってするし、不幸にだってする。
最後の賞賛のような語りの内容が不穏な感じたのは、
どんどん精神的な破滅に向かい、踊りながら狂って車道に飛び出した主人公を、芸事しか知らない哀れで素晴らしいこの役者に拍手を送ってって称賛しているからだ。
そして何より、何かを究極まで極めるという事は孤独に身を置くことに他ならず、誰にも理解できない世界に閉じこもってしまうことでもあるのではと思った。