はるのひ "べつの言葉で" 2026年8月22日

べつの言葉で
べつの言葉で
ジュンパ・ラヒリ,
中嶋浩郎
久しぶりに開いて続きを読む。壁、三角形、変身の3つの章。感想はまだ言葉にならないので印象に残った箇所を抜粋。 ⚫︎壁は、ラヒリの見た目、顔かたちのこと。どんなにイタリア語を愛していてイタリアに移住までして話せるようになっても、ラヒリよりイタリア語を話せないアメリカ人の夫のほうが簡単にイタリア人だと思われる、という非対称性の苦悩。 「書いているときには、わたしの顔かたちや名前は関係ない。姿を見られることもなく、偏見やフィルターなしに耳を傾けてもらえる。わたしは目に見えない存在だ。わたしはわたしの言葉になり、言葉がわたしになる。」(P.93) ⚫︎三角形は、ラヒリが話す3つの言語(ベンガル語、英語、イタリア語)の相関関係について。 「イタリア語を勉強するのは、わたしの人生における英語とベンガル語の長い対立から逃れることだと思う。母も継母も拒否すること。自立した道だ。」(P.99) ⚫︎変身は、英語で作家になり名誉な賞も受賞しているラヒリにとって、イタリア語で書くことがどんな状態なのかということがオウィディウスの『変身物語』に絡めて書かれている。 「何かが変わる推移の瞬間の積み重ねにより、わたしたちの背骨は形成される。それが救済であれ喪失であれ、わたしたちの記憶に残るのはそういう瞬間なのだ。私たちの存在の骨格を与えてくれる。それ以外はほとんどすべて忘却の彼方だ。(中略)オウィディウスの傑作がわたしを変えたように、わたしたちは変わることを願っている。」(P.109)
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