
サブレとポッポの往復書簡
@snowflake
2026年8月23日
月とアマリリス
町田そのこ
読み終わった
心に残る一節
学び!
読書日記
@ 自宅
読了して覚えた思いは、人の運命というものは、ほんのボタンの掛け違いひとつで、ここまで変わってしまうんだなっていう怖さを改めて認識したということです。
この物語の事件に関与した人物は、誰もが加害者でもあり、同時に被害者でもありました。それは主犯格の人物にも例外なく、犯した罪の程度や過去の生い立ちの差こそあれ、誰もがもしかしたら救わたかもしれない、そんな悲しい過去も同時に抱え持っていました。それが、この物語の大きな不幸であって、始まりでもありました。そして、プロローグが語られます。
物語の後半、二人のみちるが少しずつ心を交わしていく場面では、運命がもたらしたどうしようもない現実とその残酷さが淡々と綴られながらも、そのような中にあって、まるでエピソードの描写にあった満月の光のように、そして、アマリリスの花言葉のように、女性三人がほんの一時だけど、互いに愛情を確かめ合えた場面も描かれます。それがより、どうしようもなく堕ちていくしかなかった彼女たちの運命をより際立たせているかのようで、読みながらやるせなさを覚えずにはいられなかったのも事実です。
一方で最終章、事件後のみちるが、それでも無くならないこうした理不尽な事件に向き合い、何度でも繰り返し伝え続けることを決意したことや、井口や吉永、そして守るべき家族を待つと決めた大浦や鶴代さんといった、巻き込まれてしまった人物を受け止めて存在を示唆してくれた展開から、今が例え理不尽の中にあったとしても、月明かりに照らされたアマリリスは、どこかにきっと存在していると、そんなメッセージを受け取れたかのような気持ちになれました。