リリースデー "死者の奢り・飼育" 2026年8月23日

リリースデー
@R-D
2026年8月23日
死者の奢り・飼育
人体の皮脂と汗のすえた強い悪臭が全編から漂ってくる。 目の前で人間の尊厳が踏みにじられている時、周りの者がそれを自分と同じ人間と見なしていなかったり、誰一人手を差し伸べず見てみぬふりをしたり嘲笑ったり踏みにじる側にまわったのを目撃してしまったような、そしておまえもそちら側だろうと冷ややかな怒りと嫌悪の眼差しを向けられている錯覚を催す後ろめたく嫌な気持ちになるすごく面白い短編集だった。 『飼育』が特に野外/地下倉、黒人兵/子供、前半後半のコントラストが強烈で残酷で好き。一人称の子供の無邪気と残酷さが本当に怖い。 あと『他人の足』も良い、紛れもなくリベラルで熱心な大学生に全員感化はされて、しかし結末は…の突き放した残酷さ。大好き。 直接の加害者よりも隣人あるいはリベラル人権派なはずの個人の卑小さへの冷たい眼差しが強く、これは戦中戦後の経験から来る実感なのか、書いた当時23歳(!)だった作者の青年らしい弱さや偽善的なものを嫌悪する若さなのか、括弧つきの日本人的なものなのか。その全てなのかもしれない。
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