
K
@weitangshaobing
2025年4月3日

隣の国の人々と出会う
斎藤真理子
読み終わった
【好きなところ引用】
誰だったか思いだせないのだが、韓国のアーティストが、自分は日常的にハングルを使いながら、ときどき、世宗大王とチューニングしているような気がすると言っていたのを読んだ覚えがある。そんなふうに思える王様がいるのはすてきだ。
韓流ファンはソリを愛する。そして民族差別主義者はソリを蔑む。 ソリはマルよりずっと体に近いところで好悪を支配する。だから魅力的だし、だから怖いのだ。
母語以外の言語への挑戦は、ある人たちにとってはチャンスに満ちた選択だが、ある人にとっては、特に、状況がちがえばそれが母語であったかもしれない人にとっては、覚悟を決めてとりくむ課題、苦痛な強制にもなりうる。そこにはいつも波が立っている。あいだは静止面ではなく、竜巻が起きている。だから魅力的でもあるが、だからこそ苦しい。
今の日本でこの言語を学ぶことは、「敷居」をなかったことにするためじゃなく、こういう種類の敷居が二度とつくられないようにという願いのために、活かされてほしい。そして可能なら、学ぶ中で、隣の国の人々から、朝鮮語/韓国語と日本語のあいだに立ったから受けとれたというひとことを、「あいだのソリ」を、聞きとってほしい。



