瑞白青維 "グラスホッパー" 2026年8月24日

グラスホッパー
グラスホッパー
伊坂幸太郎
以前映画を観たことがあったので今度は原作をと思い購入。大まかな内容は分かっていたけれど細部までは覚えていない状態で読み始めた。 視点が三者で回っていくのが面白く、後半はいつ三者が出会うのか、きっかけになりそうな描写を見つけるとワクワクした。私はグロテスクな映像や文章への耐性が強く、普段はそういったものを見聞きしても他のことの方が気になってそれ自体には何も思わない(傷が深い・浅い・生存できる傷なのかなどは考える)が、本作はストーリーだけでなく傷や致命傷に関する文章も繰り返し追いかけてしまった。残酷さの中に、それぞれが得意とする手段へのこだわりや思考が書かれており、日常としての殺人が見えたことが関係しているのかもしれない。うまく言葉にできない。 登場人物らに絡みつく過去や因縁、奇妙な形の確かな絆にも面白さと切なさがあった。三者の、誰かに言葉を囁かれ強くなったり弱くなったり、揺れたり安定したりする様は、立場や生き方が違っても同じ人間、同じバッタであることを考えさせられた。 ※映画について触れています。 後日、映画をもう一度観た。原作とは大分違っていたことに驚いた。迫力があり映像作品単体として楽しむことはできたけれど、個人的には原作の方がワクワクした。田中さんが出てこなかったのが残念だった…。 鯨の原点と現在をより強く結びつけたいという演出の意図が感じられた。蝉と岩西は、原作では言葉で表現できない微妙な関係性だったのが映像では明確に「相棒」と互いに伝え合っていて、原作を知らない人が観た時のことを考慮されているように感じた。等と、違和感はあったけれど、鈴木の人生を深掘りすることで被害にあった彼女の人間性についても深掘りしたかったのかもしれない。
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