
本読み猫
@honyomineko
2026年8月24日
異常【アノマリー】
エルヴェ・ル・テリエ,
加藤かおり
読み終わった
第一部は「飽きたー」とグチりながら、なんとか読み進めた。記憶力が悪いから、新しい人が登場し続けることにうんざり。感情移入する前にブツ切りにされる超短編集という感じ。でも、この後の展開に期待して耐えた。
第二部になると大展開、えーこれどうなるの? どういうこと!? とワクワクが止まらなくなった。
第一部に何度も戻りながら読み進めたので、文庫本に挟まれていた、登場人物紹介のピンクの紙に何度も助けられた。
ただ、宗教と政治と哲学論争みたいな部分が長すぎて、「その話はもういいよ」と何度も思った。あと、著者は民主党推しで、トランプさんが嫌いなんだろうな。唯一名前を出さないアメリカ大統領のキャラ設定があまりにも幼稚で雑で、ノイズに感じた。
そして、訳者あとがきが素晴らしくよかった。SFだと思って読むと、冗長な部分が多すぎて飽き飽きするけど、
「重複者が現れる」というワンシチュエーションでいかに遊び倒せるかを試した実験小説でもあるのだ。(p.502)
という解説を読んで納得。さまざまな状況、さまざまな解釈、さまざまな文体を並べて楽しむ本だった。もしかしたら、こんなに売れる想定で書いてたわけではなかったのかも?
作中作「異常」について、担当編集者が
「お願い、複雑すぎる、これじゃ読者を失くしちゃう、もっと簡潔にして、ばっさり枝葉を切って、ずばっと核心に切り込んでよ」(p.474)
と懇願するのをあっさり無視していることから、作者があえてこの長さにしているのがわかっておもしろかった。
p.492の最後の行にある「四〇六頁」は誤植でp.482のことかな? 初版のみかもしれないけど、書いておく。誤植は見つけるとちょっと嬉しい。