デコポン "マリアビートル" 2026年8月21日

デコポン
@snaoky
2026年8月21日
マリアビートル
マリアビートル
伊坂幸太郎
⚠️ネタバレ注意 2日かけて読了。グラスホッパーより面白かった。王子というキャラクターがとにかく際立つ。小賢しいガキは嫌いだか、その小賢しいガキ筆頭みたいなキャラだった。息子の命を握られ従うしかない元アル中の木村の愚かさと王子の賢さ、このペアだったからこそ両者のキャラが立つ組み合わせであった。思えば今回登場した主要キャラは全て二人組だった気がする。マリアに七尾、檸檬と蜜柑、王子と木村、あさがおと繁、スズメバチのペア、全て二人組だった。あのオカマとおじさんもペアだったな。グラスホッパーに比べてより多くのキャラが出てきた。 舞台は東北新幹線だったわけだが、この舞台設定は面白かった。わかりやすい時間制限と密室殺人、それぞれのキャラの視点があるから誰が犯人かという謎解き要素はないが、それぞれの思惑が交錯し、一方にとっては成功だが、もう一方にとっては失敗になってしまう駆け引き、そのスリルが面白かった。終盤の王子と蜜柑が直接対決する場面は手に汗握る展開だったがそこで七尾という第三者が現れ、スムーズにはいかない。王子という巨悪に対しての共闘という単純な構図にはしないところに作者の思考の深さを感じた。 前作の主要キャラである鈴木が再登場し、王子の「どうして人を殺してはいけないの?」という質問に対して答える場面は痛快であった。あそこまでの巨悪が意趣返しされる様は気持ちが良かった。また、将来同じ質問をされたときにどう答えるかのお手本にもなった。「殺人をしてはいけないのは国家が決めたことである」この回答は生存権とか国家契約論的なところからなのか?(Gemini的にはあってるっぽい。哲学者は役立つなぁ) あと、グラスホッパーで電車がいつまでも過ぎ去っていかない描写があり、幻覚を見てたんじゃね?って思ってたけど鈴木自身もそのように回想してて読みは当たってたーってなった。ちと嬉しかった。 最後おそらく伝説の殺し屋として登場する木村夫妻、あれはカッコよかった。引退した仲介屋の正体とかあさがおとの繋がり、電車の案内掲示板と伏線回収されていく様は非常に爽快感があった。七尾は不幸の女神に好かれており、愛されキャラだから実力は確かというかなりいい立ち位置にいるキャラだと思った。
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