ゆ。 "東京都同情塔" 2026年8月24日

ゆ。
ゆ。
@XtVq4
2026年8月24日
東京都同情塔
東京都同情塔
九段理江
ここの表現が好きだった。日本人の言葉の扱い方。 主語がデカすぎるとも思うけど。言葉の扱い方に関して登場人物たちがよく話す本だった。SF要素の東京都同情塔よりも、そこの方が面白かった。 『私はいまだに日本人をどう言語化していいかわからない。もはや君たちを言語化するなんて、どんな人間にも不可能なんじゃないかとさえ思っている。なぜなら君たち日本人とは、いくら言葉を尽くしても言葉の先に行くことができないからだ。言葉はいつまでもただの言葉にしかならない。言葉はどの国にも流通していない紙幣になってしまう。いくらふんだんに持っていても何とも交換することができない金だ。 口にされる言葉以上のことを、君たちが沈黙と中立的な微笑みの向こう側で考えているのはわかる。そのことが私をどうしようもなく苛立たせる。 こういう話をすると必ず主語のサイズに批判が殺到するわけだが、私はある時期から日本語を喋る日本人がみんな、一塊の同じ生き物に見えるようになった。同じチューリップが並んでいるだけでそこに個性なんかない。ゆるキャラの着ぐるみみたいに沈黙と中立的な微笑みを着込んで、本音と建て前、ウチとソトを使い分ける、器用で嘘吐きで綺麗な黄色いチューリップだ。綺麗な嘘をつくのに慣れすぎて嘘をついている自覚さえもない。いや、君たちは厳密には嘘をついてすらいないんだ。私はこう思う、君たちの使う言葉そのものが、最初から最後まで嘘をつくために積み上げてきた言葉なんじゃないのか?』
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