
白い鳥
@whitebird
2026年8月24日
夏子の冒険
三島由紀夫
読み終わった
この本でいちばん好きな文章はこれだな。
(主人公夏子の母親が初めて、娘の惚れた男 毅を見た時の感想)
"犬が別の犬をかぎ当てるように、彼女は毅のうちに、夏子のまだ気附かない匂い をかぎあてて、それが彼女を安心させた。これこそ年の功というものである。"
(もうひとつ、恐ろしい熊を射止めた後の様子)
"若い恋人同志の顔には、古代そのままの焰の影がゆらめいていた。青年の顔は神話時代の英雄の王子のようにみえ、夏子の顔は献身的な媛のそれであった)
この終わり方はまさに神話だ、と思った。
全体を読み終えてこう思う。
これを書いたのは本当に三島由紀夫か?
なにやら吉本新喜劇めいたドタバタが延々と続く。(見たことはないのだが……)
それなのに最後には、若い男女が「英雄の王子」と「媛ヒメ」になっている。
ドタバタ喜劇をやっていたはずが、いつの間にか神話になっていた。
『夏子の冒険』って、そういう妙な小説、でも後でじわじわと来るのかも