のぼりおり "行人" 2026年8月25日

行人
行人
夏目漱石
他人のことがわかる、とはいったいどういうことなのだろうか。我々はお互いにわかっている感を演出することで日常を平穏に過ごし、心の平生を保とうとしているが、実はわからなさこそが他人なのではないか。 こう考え出すと、本作の一郎のような袋小路に入ってしまうのか。『彼岸過迄』の感想で「登場人物がみんな少し変人」ということを書いたが、夏目漱石はこの絶妙な人間関係、男女関係のブラックボックスを描くのがあまりにも上手い。単なるあるあるでもなく、極端にドラマチックでもない、人物描写の上手さ。重厚なテーマながら読み疲れさせないあたりもさすが。
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