橘海月 "対岸の家事" 2026年8月25日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2026年8月25日
対岸の家事
対岸の家事
朱野帰子
すごく心に残る、とてもいい物語だった。専業主婦の、時短勤務の、育休の母親父親それぞれみんな違ってみんな孤独を見事に描いていた。専業主婦と括っても、そこには夫が頼れる頼れない、実家が近い遠い、近いが頼れないなどまた違って、その「誰一人同じではない」がまた、孤独を掻き立てるのだと思う。 なんとなく、読みながらドラマ「銀河の一票」を思い浮かべていた。屋上から眺める夜空、自分だけが苦しみのループになっているんじゃないかと思い悩む出口のない迷路。絶望的になって見上げる星空に、飛行機雲の美しさ。「誰だって穴に落ちることがある」という言葉の共通項まで、まさにそうだった。 両者とも、絶望の中の希望の光が感じられるのも、人生が明るい方へ向いていけると信じられるのも、そんなサバサバとした力強い明るさがあった。 中学生で母を亡くした詩穂が家事を担い「一日でいい。誰かにご飯を作ってもらいたかった」と願うのも、仕事と育児の両立に苦しむ礼子が「このままじゃ私、ほんとにゲームオーバーになっちゃう」と泣くのも、育休も人生設計もうまくいってると思いつつ焦りやイライラする達也も、誰もが切なく愛おしい。
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