
めい
@meiji_chan
2026年8月27日
カフェーの帰り道
嶋津輝
読み終わった
1つのカフェーを舞台に行き交う女たちの戦前〜戦後の生き様の物語。よくある群像劇短編集なんだけど、一話一話進むごとに時間も流れ、平和でちょっとハイカラ (?)なカフェーとその周囲の人々に戦争の影が忍び寄ってくる。時代の大きな流れの中にありながらも、家族がいて仕事があってコンプレックスがあって、それまでの人生とこれからの人生があり、みんなが同じように歳を重ねていく。
いつの間にかそれぞれの主人公の人生に寄り添うように見守っていて、点と点が少しずつ繋がっていくうちに、新たな点が現れたり、通り過ぎた点をまた通ったりすることを期待させられる。タイ子さんの息子の豪一くんなんて小さい頃から見守ってきたような気持ちになって、タイ子さんと一緒になってハラハラ手紙を読んでしまっていた。美登里ちゃんの再登場時が一番驚いた。そこに落ち着くのね。
『カフェーに行く道』ではなく『カフェーの帰り道』なのは、あくまでもカフェーは一つの職場であり、元職場であり、溜まり場であり、本当の帰る場所はそれぞれが持っていて、たまたまカフェー西行で女たちが行き交ったから、なのだと思う。
大正〜昭和の物語としては、文体までリアルな造り込みはないものの、ところどころの固有名詞や言い回しに時代を感じられた。タバコが大事なアイテムになってるのもいい。直木賞受賞の決め手が何かはわからなかったけれど、少なくとも直木賞に値しない作品ではなかったと思う。



