
滋味
@jimicked
2026年8月28日
占星術殺人事件 改訂完全版
島田荘司
読み終わった
綾辻行人さんの『館シリーズ』を読み進めるにあたり、影響を与えた作品として先に読んでおきたいと思い手に取りました。
日本の本格ミステリを代表する作品として知られるだけあって、40年以上前の作品ながら、今読んでも十分に楽しめました。
序盤の梅沢平吉による手記は独特の文体と異様な内容が長く続き、正直なところ少々読みづらく感じました。しかし御手洗潔が登場してからは一気に読みやすくなり、複雑怪奇に見える事件の謎に引き込まれていきました。
比較的早い段階でトリックの一部に気づいたのですが、それによって面白さが損なわれることはありませんでした。むしろ「この推理は正しいのか」「だとすれば残された謎はどう説明されるのか」と、早く答え合わせをしたい気持ちが強くなり、ページをめくる手が止まりませんでした。
特に印象的だったのは、奇抜で複雑に見えた事件が、真相を知ると驚くほど明快な構造に変わることです。そして、その核心にたどり着くための材料が、読者にもきちんと提示されているところに、本格ミステリならではの面白さを感じました。
1981年の作品だけに文章や時代背景には多少の古さを感じますが、それが読みにくさにつながることはほとんどありませんでした。本格ミステリの名作として、長く読み継がれている理由がよく分かる一冊でした。

