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滋味
滋味
@jimicked
  • 2026年9月22日
    コンビニ兄弟3
    コンビニ兄弟3
    1巻、2巻に続いて、そのまま3巻まで読んでしまいました。 今回もテンダネス門司港こがね村店を傍らに、それぞれの事情を抱えた人たちの物語が描かれます。 これまでのシリーズにも温かさはありましたが、3巻は特に心を動かされる「いい話」が多かったように感じました。個性的な登場人物たちの楽しさはそのままに、人の弱さや寂しさに触れながら、最後には少し温かい気持ちにさせてくれます。 そして改めて感じたのが、町田そのこさんという作家の振り幅の広さです。軽快で楽しいやり取りから、人が抱えているものを丁寧に描く場面まで、同じシリーズの中で自然に行き来する。そのバランスが印象に残りました。 1巻を読んだときは「続きは好きなときに読めばいい。まさにコンビニ」と思っていたはずなのですが、気がつけば3巻まで来てしまいました。 どうやら私は、かなりの常連になってしまったようです。
  • 2026年9月18日
    コンビニ兄弟2
    コンビニ兄弟2
    前作に続いて読みました。 今回は連作短編3編と控えめなボリュームで、とても読みやすい一冊でした。 前作に登場した人物たちのその後が描かれたり、これまで見えていなかった一面が掘り下げられたりするのもシリーズものならではの楽しさです。一度知った人たちだからこそ、「あの人はどうしているだろう」と自然に物語へ戻っていけました。 もちろん今回も、それぞれの登場人物にはそれぞれの物語があり、その傍らにはいつもテンダネス門司港こがね村店があります。 前作を読んだとき、「続きは好きなときに読めばいい。まさにコンビニのようなシリーズ」と感じました。 そう思っていたのに、思いのほか早くまた立ち寄ってしまいました。 それもまた、コンビニらしいのかもしれません。
  • 2026年9月17日
    コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店ー
    コンビニを舞台にした物語――と言ってしまうと、少し違う気がします。 コンビニが物語の中心にあるわけでもありません。それぞれの登場人物にはそれぞれの生活があり、悩みがあり、物語があります。そして、その傍らにはいつも「テンダネス門司港こがね村店」がある。そんな連作短編集でした。 登場人物たちはみんな個性的ですが、どこか頼りになる人たちでもあります。それぞれの物語が少しずつ交わりながら、一つの場所を共有している感じも心地よく、読み進めるうちに自分もこのコンビニの常連になったような気分になりました。 シリーズはまだ続いているので、もちろんこの先も気になります。ただ、一冊できちんと区切りがついているので、すぐ次巻を読まなければという感じでもありません。 また読みたくなったときに、ふらっと立ち寄ればいい。 いつでもそこにあって、好きなときに利用できる。 続きもそんな気持ちで読めばいいのだと思います。 まさにコンビニのようなシリーズでした。
  • 2026年9月16日
    シュレディンガーの密室
    最近、島田荘司さんや綾辻行人さんのミステリを読むようになり、新しい作家さんのミステリも読んでみたくなり手に取りました。 何を書いても作品の面白さを損なってしまいそうで、感想を書くのがとても難しい一冊です。 読みながら自分なりにあれこれ考えましたが、読了して振り返ると、タイトルも含めて実によく考えられた作品だったと思います。 ミステリが好きな方には、できるだけ予備知識を入れずに読んでもらいたい作品です。
  • 2026年9月10日
    水車館の殺人 <新装改訂版>
    『十角館の殺人』に続いて、館シリーズ2作目として読みました。 前作とはまた違った印象で、今回は「これぞ本格ミステリ」という王道の面白さを存分に味わえました。 奇妙な館を舞台に、少しずつ提示されていく謎や違和感。「これは何か意味があるのでは」「もしかするとこういうことでは」と、自分なりに予想しながら読み進められるのがとても楽しく、気がつけば一日で読み終えていました。 本格ミステリは真相そのものの意外性だけでなく、読者自身が推理に参加できることも大きな魅力なのだと、改めて感じさせてくれる作品でした。予想が当たったところもあれば、もちろんそうでないところもあります。それでも最後に答えが示され、それまで感じていた違和感が整理されていく過程がとても気持ちよかったです。 強烈な驚きが印象に残った『十角館の殺人』に対して、『水車館の殺人』は王道の本格ミステリをじっくり楽しんだという満足感が残りました。 館シリーズ、ますます先を読むのが楽しみになりました。
  • 2026年9月9日
    夜は短し歩けよ乙女
    読み始めてまず驚いたのは、独特でクセの強い文章でした。古風で大仰な言い回しに、個性的すぎる登場人物たち。正直、最初は「ずっとこの調子なのだろうか」と少し戸惑いました。 ところが読み進めるうちに、不思議とそのリズムに慣れてきます。そして気がつけば、奇妙な出来事が次々と起こる京都の街を楽しみ、天真爛漫にそこを歩き回る「黒髪の乙女」にまた会いたくなっていました。 読んでいて何度も頭に浮かんだのが、高橋留美子さんの『うる星やつら』です。もちろん物語はまったく違いますが、個性的な人物たちが次々と現れ、荒唐無稽な出来事が起こり、それを皆が大真面目に受け入れながら騒動がどんどん膨らんでいく。そのドタバタした喜劇の雰囲気がどこか似ていて、途中からは登場人物たちが高橋留美子さんの絵で頭の中を動き回っていました。 かなり個性的な文体なので、人によって好みが分かれる作品だとは思います。しかし、そのクセこそがこの不思議な世界を作っているのでしょう。最初に感じた読みづらさまで、読み終えるころには作品の味になっていました。 そして何より、黒髪の乙女が魅力的です。 本を閉じたあと、あの不思議な京都の街というよりも、「もう少し黒髪の乙女を見ていたかったな」と思っている自分がいました。
  • 2026年9月4日
    おいしいごはんが食べられますように
    タイトルから想像していたものとはずいぶん違う、職場の人間関係に潜むモヤモヤや息苦しさを描いた作品でした。 特に印象に残ったのが、解説で一穂ミチさんが芦川さんのような存在を「ごまめ」と表現していたことです。私が育った地域では「お豆腐」と呼んでいた記憶があります。子どもの遊びの中で、年下だったり弱かったりする子を特別扱いする存在です。 弱い人を助けること、できない人を周囲が支えることは、本来なら優しさのはずです。しかし、その優しさによって誰かに負担が偏ったり、それに不満を感じること自体が許されないような空気が生まれたりもします。 この小説には、誰か一人を単純に悪者にしてしまえば解決するような分かりやすさがありません。それぞれの感情に理解できるところと、どうにも共感できないところがあり、その割り切れなさが最後まで残りました。 決して爽快な読後感ではありません。それでも、職場や人間関係の中で感じたことのある、うまく言葉にできない違和感を巧みに描いた作品でした。
  • 2026年9月3日
    檸檬のころ
    檸檬のころ
    田舎の高校を舞台に、そこに通う高校生たちの恋愛や進路、人間関係を描いた連作短編集です。 青春というと「甘酸っぱい」という言葉で表現されることが多いですが、この作品を読んで強く感じたのは、それだけではない「苦味」でした。 登場人物たちは、それぞれに言葉にしにくいモヤモヤや鬱屈した思いを抱えています。恋愛や将来への不安、嫉妬や劣等感など、高校生だったからこそ必要以上に悩んでしまったこと。それらがきれいに解決されるのではなく、どこか割り切れない感情として残るところに、この作品らしさを感じました。 檸檬には甘酸っぱさだけでなく、皮や白い部分には苦味もあります。この連作短編集から私が感じたのは、まさにそんな高校時代の「苦味」でした。 読み終えてみると、『檸檬のころ』というタイトルがとてもよく似合う作品だったと思います。
  • 2026年9月2日
    斜め屋敷の犯罪 改訂完全版
    『占星術殺人事件』に続いて読みました。 序盤は登場人物や舞台となる「流氷館」についての細かな説明が続き、正直なところ少し読み進めるのに苦労しました。特に館の構造はかなり複雑で、「これを全部把握しながら読まないといけないのだろうか」と不安になったほどです。 しかし、読み終えてみると印象は大きく変わりました。 これまで読んできたミステリでは経験したことのないほど大胆な仕掛けで、その全貌が明らかになったときには圧倒されました。「そこまでやるのか」と思わず笑ってしまうほどのスケールですが、それを真正面から本格ミステリとして成立させようとする作者の発想と執念には驚かされます。 御手洗潔の登場を楽しみに読み始めたこともあり、なかなか姿を現さないことには少々焦らされました。それだけに、登場してからの展開は痛快でした。 細かな説明が多いため、途中では自分には少し合わない作品かもしれないとも思いましたが、最後まで読んだことでその評価も変わりました。 序盤の細部をすべて理解しようとせず、まずは物語を追っていっても十分楽しめると思います。これほど大掛かりな仕掛けのミステリを読んだのは初めてで、まさに「圧巻」という言葉が似合う一冊でした。
  • 2026年8月28日
    占星術殺人事件 改訂完全版
    綾辻行人さんの『館シリーズ』を読み進めるにあたり、影響を与えた作品として先に読んでおきたいと思い手に取りました。 日本の本格ミステリを代表する作品として知られるだけあって、40年以上前の作品ながら、今読んでも十分に楽しめました。 序盤の梅沢平吉による手記は独特の文体と異様な内容が長く続き、正直なところ少々読みづらく感じました。しかし御手洗潔が登場してからは一気に読みやすくなり、複雑怪奇に見える事件の謎に引き込まれていきました。 比較的早い段階でトリックの一部に気づいたのですが、それによって面白さが損なわれることはありませんでした。むしろ「この推理は正しいのか」「だとすれば残された謎はどう説明されるのか」と、早く答え合わせをしたい気持ちが強くなり、ページをめくる手が止まりませんでした。 特に印象的だったのは、奇抜で複雑に見えた事件が、真相を知ると驚くほど明快な構造に変わることです。そして、その核心にたどり着くための材料が、読者にもきちんと提示されているところに、本格ミステリならではの面白さを感じました。 1981年の作品だけに文章や時代背景には多少の古さを感じますが、それが読みにくさにつながることはほとんどありませんでした。本格ミステリの名作として、長く読み継がれている理由がよく分かる一冊でした。
  • 2026年8月21日
    52ヘルツのクジラたち
    7割ほどまでは、本当に重くて辛い物語でした。残りの3割で救われるのかもしれませんが、救いの感じ方は人それぞれなのだと思います。私は最後まで、救いよりも辛さのほうが勝ちました。 それでも、読んで良かったと思える作品でした。 人が傷つくこと、誰かに声が届くこと。読み終えた後もしばらく考えさせられる一冊でした。
  • 2026年8月17日
    十角館の殺人 <新装改訂版>
    これまでミステリをほとんど読んでこなかったのですが、この作品でその面白さに気づきました。 先が気になってページをめくる手が止まらない。そんな読書の楽しさを久しぶりに味わいました。 読み終えた今、これまで手をつけてこなかったミステリというジャンルに、まだ手付かずの大地が広がっているような気分です。 これから少しずつ歩いてみようと思います。
  • 2026年8月12日
    成瀬は都を駆け抜ける
    大学生になって京都という新しい舞台に進んでも、成瀬はやっぱり成瀬でした。 成瀬らしい大学生活を送りながら、これまでの物語で出会った人たちとの縁もつながっていきます。 そして最後は全員集合。まさに大団円でした。 三部作で終わってしまうのは少し寂しいですが、せっかくこんな魅力的なキャラクターが生まれたのですから、いつかまた続編で会えることを期待しています。
  • 2026年8月9日
    夜空に泳ぐチョコレートグラミー
    五篇それぞれが独立した短編でありながら、登場人物や出来事、場所などが少しずつ重なっていて、一編だけでは見えなかったものが、別の編を読むことで補われていくようになっています。 しかも「この人物が前の話のあの人だった」と派手に明かすことはせず、「あれ?これってさっきの話と繋がってる?」と気づくくらいの距離感なのが心地よいです。 一人の主人公をずっと追いかけるのではなく、別の人物の視点から同じ世界を少しずつ覗いていく。その結果、読み終わる頃には五つの短編が単なる短編集ではなく、一つの大きな物語の断片だったように感じられる。そんな一冊でした。
  • 2026年8月9日
    日記の練習
    日記の練習
    日記の書き方の本を思わせるタイトルですが、内容はくどうれいんさんの1年間の日記です。 私は他人の日記が好きです。書いた人の人生をこっそり覗き見ている気がするからです。くどうさんが留守の間に部屋に忍び込んで、日記を盗み見ているような気分で読み進めました。 くどうさんの日記は、特別な出来事ではない日にも、くどうさんにしか書けない表現があります。日記は「特別な出来事」を書くものではなく、「自分だけの着眼点」を積み重ねるものなのだと、この本で示してくれているように感じました。 ノウハウ本の体はなしていません。それでも、真似してみたい表現に溢れていますし、何より日記を書くモチベーションを与えてくれる一冊でした。
  • 2026年8月2日
    スロウハイツの神様(上)
    ここ数年、ブックサンタで寄付する作品として選んでいる『島はぼくらと』に登場する赤羽環を追いかけて、本作を手に取りました。 負けず嫌いで、自分にも他人にも厳しい環を、最初は好きになれませんでした。それでも読み進め、最終章を読み終えたときには、彼女を少し違う目で見ている自分がいました。 一人の人物を追いかけていたはずが、いつの間にかスロウハイツに暮らす人たち全員を好きになっている。 そんな作品でした。
  • 2026年7月24日
    ほんとうのことを書く練習
    「ほんとうのことを書く」ための文章術やノウハウを期待して読みましたが、実際は「書くこと」に向き合うための心持ちについて書かれた本でした。 読んで何か具体的な技術を得たというより、自分はなぜ書くのか、何を書きたいのかを考えるきっかけになった一冊。 文章を書く人には、一度立ち止まって自分の「書く」を考える時間になるかもしれません。
  • 2026年7月22日
    六番目の小夜子
    新潮文庫の100冊50周年記念作品『プレゼント』に収録されていた恩田陸さんの短編の縁でこの作品を読みました。 高校三年生という、最も敏感で多感な時期だからこそ成り立った物語だったと思います。 「サヨコ伝説」そのものよりも、それを取り巻く高校生たちの期待や不安、好奇心、そして誰かにとっての特別な存在でありたいという気持ち。人の心理が絡み合うことで、ひとつの出来事が生まれていく。 青春小説であり、ミステリーであり、少し怖くもある。30年以上前の作品ですが、今読んでも面白かったです。
  • 2026年7月20日
    夏帆
    夏帆
    高校時代に夢中になって追いかけた村上春樹。 今回初めて、現在の村上春樹が書いた作品を、現在の私が読みました。 まだ新刊ですので詳細伏せますが、難解な表現は控えめで読みやすく、物語の細部をどう受け止めるかで、主題が少しずつ姿を変えていくような作品だと感じました。 読み終えた後もしばらく考え続けたくなる。そんな一冊。 しばらくしたら、もう一度読んでみようかな。 あの頃はまだ飲めなかったカティサークを傾けながら。
  • 2026年7月16日
    色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
    新刊『夏帆』を読む前に、村上春樹作品のリハビリとして本作を選びました。高校時代はデビュー作から『1Q84』まで読んでいましたが、途中で突然“村上春樹節”にお腹いっぱいになり、それ以来遠ざかっていました。本作は、その村上春樹節をしっかり味わわせつつ、ストーリーは比較的シンプル。それでいて、読後にはちゃんと考えさせてくれる余白があります。私のようなリハビリ用途(笑)はもちろん、村上春樹の最初の一冊としてもおすすめしたい作品でした。
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