
イツキ
@maruitsuki
2026年8月27日
成瀬は都を駆け抜ける
宮島未奈
読み終わった
今作で最も印象に残ったのは、「極める」という成瀬の口癖が、単なる面白い言い回しではなく、彼女の人生観そのものとして描かれたことだった。
成瀬はゴールへ到達するためだけに歩いているのではない。
歩くことそのものを楽しみ、その途中で出会ったものを次々と自分の人生へ取り込んでいく。
そして、その姿を見た人たちもまた歩き始める。
坪井は料理へ。
ののかは次の配信へ。
西浦は新しい人間関係へ。
美貴子は五年前にできなかった一歩へ。
成瀬が誰かを変えようとしたわけではないのに、結果としてたくさんの人の人生が少しずつ動いている。
一方で、その成瀬自身も決して一人で光り続けられるわけではない。
最後に島崎が「わたしも二百歳まで生きよう」と言ったことで、今度は島崎が成瀬の長い人生を支える側へ回る。
新しい人がどれほど増えても、やっぱり最後には、
「成瀬と島崎なんだよなぁ」
と思わせてくれる。
四百万年を生きる琵琶湖のそばで、三百年でも四百年でも一緒に生きようとする二人。
この先の成瀬あかり史も、まだまだ見届けていたい。





