ねむみん
@nemumin
2025年4月4日

人魚が逃げた
青山美智子
読み終わった
3月の終わり、とある日の銀座に行き交う人々が「人魚が逃げた」と悲しむ王子と出会う話。
王子と交わした言葉と「人魚姫」のストーリーをきっかけにパートナーや家族のことを省みる主人公たちを通して、愛情をつたえることの難しさを感じる物語だった。
しかし後悔している王子をよそに、主人公たちは皆前向きになるので、全体的にあたたかみがあった。
切ない物語から学びを得て、今の幸せを噛み締めることってあるよね。王子には申し訳ないけど。勝手に王子にエールを送りたくなる。
どの章もしみじみと良かったけど、特に五章は、そうきたかー!というのが率直な感想で、それまでの四章分の重みが乗った面白さだった。観覧車だと思っていたら実はジェットコースターに乗ってしまっていたようだ。
エピローグ後はもう一周したくなってしまった。憎いぜ。
各章のタイトル「恋は愚か」「街は豊か」「嘘は遥か」「夢は静か」「君は確か」の語感が良い。



