
サブレとポッポの往復書簡
@snowflake
2026年8月29日

ことり
小川洋子
読み終わった
また読みたい
心に残る一節
読書日記
@ 自宅
以下、思い切りネタバレです。ご注意。
小鳥の小父さん(おとうさん、かな?)と呼ばれてきたとある男性の生涯を辿るお話です。
鳥と心を通じ合わせ、小父さんと生涯を通して共に過ごした兄と母を亡くし、小父さんは天涯孤独となってしまいます。
そんな折、一冊の禁帯出の書籍をきっかけに始まった図書司書の女性との、少し遅れてやってきた淡い青春は、ほんの一時ではあったけれど、その頃の小父さんの孤独な世界を明るく照らす光になったような気がしました。
小父さんが年を重ねても、変わらず何かにつけて気遣ってくれる青空薬局の店主さん。そして小鳥の世話を信じて、全てを預けてくれていた前園長。回りにはいつも優しい人たちが側にいて、優しい時間が流れていくはず、ともいかず、やがてそんな穏やかで変わらない日常も、徐々に小父さんにとっては胸が締め付けられるような辛い日々に移り変わっていきます。
そんな時、思いがけない出会いが小父さんの世界を一変させます。怪我をして動けなくなっていたメジロを保護し、懸命に怪我の手当をしていくなかで、小父さんはかつて兄がそうしたように、メジロと少しずつ心を通わせていきます。メジロの傷が癒え、外の世界に返してあげられる日々が近づくにつれて、小父さんの中ではメジロへの惜別の思いと、メジロから投げられる真っ直ぐな彼への感謝と家族愛のような思いとがない交ぜになり、彼はメジロを外に飛び立つその間際まで守り、慈しむように抱き抱えながら、静かに眠りにつきます。
そして、小説の冒頭に繋がる…
もう、この話の持っていき方は反則ですよ!小川洋子先生、泣くなという方が無理っていうものです( ω-、)
静かに、ただただ静かに、優しく、そして、切ない…
私も、こんな風に旅立てたなら、きっと心残りはないだろうなって…
