
まろ
@maro
2026年8月30日
ロングアイランド
コルム・トビーン,
栩木伸明
読み終わった
図書館本
前作に続き、人生のままならなさが詰まった作品。
アイリーシュはうまくがんばってきたけど、夫の親族との暮らしや、移民としてのアメリカでの暮らしは楽しいことばかりではなく、心から自分の居場所と思うことはなかったのではないかと思う。
夫の不義により大騒動となるが、義母たちはトニーを受容するかのようで、アイリーシュを表立って味方するものはいない。食事会の時だってそう。このイタリア人一家の中では自分は余所者なのだ、という思いを強くしたのかも。
しかし帰郷したアイルランドにも彼女の居場所はなく、ふと考えてしまうのはロングアイランドにいる家族のこと。これがわたしの人生なのだ、と述懐するアイリーシュは、前作より前向きに見えた。
赤ん坊の写真を見て、ジムと生きることを決意するアイリーシュ。歳をとると、何をするにも親や子供、世間の目など、自分の気持ち以外に縛られるものが増えてくる。結局はそれも阻まれてしまうのだけど。
前作から読んでいるのでアイリーシュを応援する視点で読んでしまうが、ナンシーはナンシーで苦労してきたのがわかるから苦しい。
若い頃だったらジムを責めて別れるとかなりそうだけど、40代後半という年齢、自分の見た目の気後れ、アメリカで洗練され美しいアイリーシュとの比較・嫉妬、今の生活から抜け出したい気持ち等、ジムへの愛の他にもいろんな屈折した感情があって、あの行動に至ったのだと思う。
アイリーシュからしても、ナンシーとジムの婚約は世間的にみて喜ばしいことで、事情があるとはいえ夫と子がいる自分には口を挟めないし、意図したことではないとはいえ25年前の自分のふるまいを思えばジムを責めることもできない。
町の人からみたらナンシーとジムの結婚は祝福すべきニュースだし、アイリーシュは成功して幸せでアメリカに帰っていくものだと思っているだろう。
実際に本人たちがどう思っているか、何を経験してきたかははたから見たらわからない。他の人だっていろんなものを抱えているのだろう。
人生のいろんな苦しさを感じた作品。
この後どうなったんだろうなあ。


