
ユメ
@yumeticmode
2025年3月31日

うたうおばけ
くどうれいん
読み終わった
感想
くどうれいんさんのエッセイを読むのは初めてだったのだが、冒頭に収録されている表題作「うたうおばけ」にいきなり心を奪われてしまった。「人生はドラマではないが、シーンは急にくる。わたしたちはそれぞれに様々な人と、その人生ごとすれ違う。だから、花やうさぎや冷蔵庫やサメやスーパーボールの泳ぐ水族館のように毎日はおもしろい」——なんて素敵な言葉なのだろう。くどうさんの綴る文章は、時に鋭く時にまろくて、とびきりピカピカしている。
あとがきの「生活は死ぬまで続く長い実話。そう思うと、どんな些細なことでも書き留めておきたくなります」という書き出しも好き。私も、私の人生に訪れるシーンを見逃さないようにして、ちゃんと日記に残しておきたいなと思った。くどうさんのような唯一無二の魅力溢れる文章は書けやしないことがちょっぴり悔しくもあるけれど、こんなに瑞々しい感性を持った人が同じ世界を生きていて、日々を書き記してくれることは、大きな救いでもある。


