
白玉庵
@shfttg
2026年8月30日

近代日本の「手芸」とジェンダー
山崎明子
読み終わった
「工芸」と「手芸」とは、上位・下位を示す概念ではなく、基本的に担い手のジェンダーによって峻別され、ジェンダーの構造によってヒエラルキーが作り出されたと考えられる。 p274
中産階級の財産基盤の弱さは、この階級に留まり続けることの不安定さを生み出している。
-略- ひとたび世帯主や主たる家計維持者を失った場合、また社会から批判を受けるような行動を起こした場合には、中層から下層への下降は、いとも簡単に起こりうるものであったと考えられる。 p279
「手芸」が本来の生産労働としての性質を隠蔽し、再生産労働の一環であると偽装するのは、国家に不可欠なジェンダー規範をまもりながら、女性たちに常に高度な生産技能を修得させ、またその技能を維持させ続けるためである。この技能は、国家や家庭の危機に際して、きわめて実用性の高い技能であった。 p281
一葉だ…内職でお針子を続けることで辛うじて「中層」に留まることができた(実態は下層で、破綻したが)。そして時代は下って、風船爆弾を作ったおんなのこたち、兵士のために靴下を編んだイギリスの女たちへ繋がっていく。
ほんのちょっとだけどアーツ・アンド・クラフトの欺瞞を批判しているところがあって(モリスはデザインだけして、実際の刺繍は周囲の女性たちにさせていた)、興味をひいた。
いまの大部分の世界では女性も生産労働に明確に携わり、「手芸」で「婦得」を養っている場合ではない。むしろ工業製品を買えばより安価にそれなりの品質のものが手に入るのに、金と時間を消費して自己満足している現状を説き明かすのが新刊の『手芸とエンパワメント』のようなので、読むのが楽しみだ。どこが転換点だったんだろう?
こちらは博論ベースでデータ資料が多く、蝶・蛾が苦手な自分には養蚕のパートはきつかった。新刊のほうがダイナミックでがんがん読めそう。
謎のトンボのようなゴミがp274-275にある。あんまり見たことのないものだけど、なんだろう。あとちょこちょこ誤字脱字あり。この本にも上野千鶴子が出てきて、気に入ってる飲み屋でよく見かける人みたいな感じになってきた。










