
ユメ
@yume_bookworm
2026年8月10日
新装版 デルフィニア戦記
茅田砂胡
読み終わった
感想
改革派の卑劣な脅迫に対抗し、リィがコーラル城に侵入してフェルナン伯爵の救出を試みる。人間離れした能力を持つリィならではの作戦がどうか成功しますようにと、祈るような気持ちで読んでいた。
北の塔の地下牢から脱出し、夜空を見上げたフェルナン伯爵の「生まれて初めて星を見るような想いがする」という言葉に胸を突かれ、そこから先の展開には涙を禁じ得なかった。
フェルナン伯爵は頑固な忠義者といった印象の人格者で、このひとが育てたからこそウォルは立派な青年になったのだなと納得する。そんな伯爵が語る父子の絆に、深く心を揺さぶられた。
リィがいてくれてよかった、と改めて思う。リィがいなければフェルナン伯爵とウォルが父子として再会することは叶わなかったし、伯爵もきっと、最期に息子を友人と呼んでくれる「小戦士」に託せたことで、安心して旅立てただろう。
他のひとが立場に囚われてできないことを、しがらみのないリィは軽々と飛び越えてゆく。ウォルを王として敬い、忠実に仕えてくれる優秀な味方はたくさんいるけれど、ひとりの男としての心の痛みに寄り添えるのはリィとイヴンぐらいしかいない。
つくづく、ウォルとリィの出会いは運命的だなと思わされる。



