DN/HP "片眼の猿" 2026年8月31日

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2026年8月31日
片眼の猿
片眼の猿
道尾秀介
都筑道夫『怪奇小説という題名の怪奇小説』の解説が素晴らしかったので買ってみた、はじめて読む道尾秀介の長編小説。昨日の夜から読みはじめてもう読み終わった。小説ってこんなに速さで読めて良いんだっけ、というリーダビリティ。解説にも「リーダブルな文体の選択」と書いてあって、なるほど作家の狙い通りにハマれたというわけか。 ライトなハードボイルド(というのも解説に書いてあった)の軽い読み心地のなかにある、怪異や超常現象を思わせるフック、奇抜な、とも思ってしまうようなキャラクタのキャッチーさ、事件と叙述の両方にあるトリック、至る所に張られる伏線のミステリ要素。すべてがきちんと機能したエンタメ小説。完全に楽しめた。 そして、楽しんだ末、伏線は回収されトリックはとき解され、事件が解決した物語の最後に主人公が辿り着く、思い至る——というのは読者へのメッセージでもあって——ありふれた「真実」。そのありふれている故に軽んじられてしまうような、しかしとても大切な「真実」が、熱量を持って技術を駆使して楽しませるために書かれた物語、小説の最後に提示されるというのも、読者というか世界に対して真摯な小説の書き方では、とそこにも感動したりした。 とても良い小説でした。
片眼の猿
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