
不安定
@unstable_okyt
2026年8月31日

怠惰の美徳 (中公文庫)
梅崎春生
読んでる
引用
私の心の中にも、その日本的衰頽にひかれる気持は充分にあって、それもはっきり意識に入れた上で、…(略)…私がそれを嫌悪する気持に嘘はないのである。私はせめてここから出発しよう。もがくことで抵抗をたしかめながら、出来ることなら脱出を完成してみたいのである。私は日本人であることよりも、人間であることに喜びを感じたいのだ。もし日本人というのが、日本的衰頽を身につけた人間という意味であるならば。
「衰頽からの脱出」より p.98
ーーー
"私は日本人であることよりも、人間であることに喜びを感じたいのだ。"
…ほんとに、とため息まじりに頷いてしまう。
この「衰頽からの脱出」が書かれたのは、巻末の初出一覧によると昭和23年、およそ80年前ということになる。
80年経っても梅崎春生の言う「衰頽からの脱出」を為せていない現状を憂うべきか、いや、80年先(あるいはもっと先)まで見通す視座を持った文章に出会えたことを喜ぶべきか。



