はな "虎のたましい人魚の涙" 2026年8月30日

はな
はな
@hana-hitsuji05
2026年8月30日
虎のたましい人魚の涙
「トレンチコートに両手を突っ込みながら歩く」 私の住む街は東北に比べたら暖かいと思うんだけど、そんな場所でもトレンチコートを着たことがない。 おしゃれしてます私、みたいなコートの自意識が酷すぎて、恐れ多くて袖を通すことができない。いつか颯爽とそれを羽織って両手をポッケに突っ込んでみたい。 「おたくであることがわるいわけではない。おたくでないわたしがわるいと思った」 「それとおなじころ、下川原先生は先生をやめた」 学生時代にどれくらいの濃度で親しかったのかハッキリと覚えていない子からグループLINEに誘われて入ってみたものの、彼女たちの好きな界隈のオタクさについていけなくて孤独を感じたことを思い出した。 私が良く読む本、興味のある分野は、彼女たちの好きなアニメとはベクトルが全く交わらず、トークルームの会話が弾むたびに増え続ける通知からついに自分を遠ざけた。無音の夜にこの本を読んでる。 下川原先生は、なんで先生をやめたんだろう。 「こんなこと言いたくないけれど、祝福には体力がいる」 「一週間か二週間で萎れて枯れてしまうけれど、祝福の時間としてその期間はとても適切な気がする」 数字を何かに関連づけて覚えておくのが本当に苦手で、以前は忘れないために手帳にびっしりと友達やたまたま知った誰かの誕生日を書き加えていた。 その個人的な風習を、どんなタイミングや理由でやめたのかは思い出せない。 お花が枯れるまで、箱に入った焼き菓子をすっかり食べてしまうまで、そのくらいの時間のあいだだけ、自分も含めて誰のお祝い事もお祝いしていたい。 「『無理しないで』と言ってくるひとにわたしの何がわかるんだろうと思っていた」 「無理」という言葉が抽象的に聞こえるから、この言葉をかけられるとすごく奇妙な気持ちになる。 倒れなければセーフみたいな価値観でこり固まった社畜だったので、新人の子が仕事を休んだり早退したりする理由を聞くと、内心、腰を抜かしてる。これでいいのだ。この感覚に慣れていって良いのだ。本当の私の無理は、かなり手前にあるんだと、もっと知らせる必要がある。 「お風呂のいやなところは、なんといっても『おふろー!』と言われるところだ」 私が入ろうとした時にサッと横取りした家族こそ「おふろー!早く入り〜!」と言う。 お風呂を心身のバロメーターにしていて、お風呂大好きな方だから、なぜかさっさと入れない時、後回しにして結局すごくめんどくさくなりながら入って「疲れた…」と深いため息をつく週は、確実に疲れているから早く清潔にして寝ないといけない。 昔の冬は湯船の中に文庫本を持ち込んだり、睡眠時間を削って読んで、湯船の中でウトウトしていた。今年の冬はどうだろう。
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